天児氏が古代文明から三国志まで熱く語った前回記事はコチラ
全12巻の「中国の歴史」のうち、今回取り上げる第5~8巻を読みながら、中国あるいは中国史をどのように見るかという問いに対して少し全体的な枠組み、ないしは視点が見えてきたような気がする。
第8巻の著者は、中国史を見る場合、ユーラシア史ないしは世界史の視点から中国史を理解すべきであり、同時に中国には「大きな中国」と「小さな中国」とがあると主張する。
私なりに解釈すると、「大きな中国」とは様々な民族、文化、宗教などが交錯し、多様な色彩と柔軟な強靭さに包み込まれた世界であり、「緩やかな連合体としての中国」である。「小さな中国」とは漢民族、儒教思想、官僚制度をコアとした世界、「核心の中国」である。「小さな中国」の歴史は一般には王朝史ということができるが、 ユーラシア史の中で見ると、最も躍動的に歴史を動かしてきた主体は「大きな中国」であった。
5~8巻を概観しておくと、後漢が崩壊し魏晋南北朝の時代に入り異民族・異文化も入り乱れて混沌とした時代が続く(第5巻)。やがて多様性に富んだ隋唐の大中華帝国の時代を迎える(第6巻)。