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ビール離れが “激増” のウラで…アサヒがそれでも「ビール」にこだわるワケ

「アサヒビール」塩澤賢一社長に聞く
大塚 英樹 プロフィール

顧客に寄り添う「課題解決型営業」を提唱

塩澤がNo.2シップをいかんなく発揮するのは、08年から5年間就いた営業戦略部長の時である。

当時、ビール市場は縮小し続けると同時に、ビールが停滞、発泡酒と新ジャンルが成長するという質的な変化が起きていた。

危機感を持った塩澤が着目したのは、顧客(量販店、飲食店)との深い関係づくりだった。他社と差別化し、競争優位に立つには、顧客に寄り添い、顧客と一緒に課題を解決する営業に切り替えなければならないと考えた。

そのために、塩澤は、(前述したように)従来の商品を見せるだけの「説明営業」、一方的に提案する「提案営業」から、顧客の課題を発見し、課題の解決を行う「課題解決型営業」を唱えた。全国の地区統括本部を回り、各本部から推薦された精鋭の営業担当者を対象にした研修を開始した。

塩澤が語る。

「どうしたら顧客の課題を引き出せるか。それがポイントです。課題さえわかれば、手を打つことはできる。売り上げが悪いというのは現象でしかない。

ビールの何が悪いのか。売り場はどうなっているか、品揃えはどうか、を突き詰め、『ここに問題があるのではないですか』というところまで掘り下げないといけない。問題になっている部分を解決するのが、この営業の狙いです」

塩澤の唱えた課題解決型営業は現在、アサヒビールの営業の基本的考え方となり、現場に浸透し、日々の活動で実践されている。

その後、塩澤は、取締役執行役員経営企画本部長、常務取締役常務執行役員営業本部長を歴任し、No.2として経営トップを支えるのである。

塩澤 賢一(しおざわ・けんいち)
1958年、東京都生まれ。慶應義塾大学商学部卒業後、1981年にアサヒビールに入社。東京や大阪を中心に営業現場を歩み、執行役員営業戦略部長として同社の課題解決営業の礎を築く。同社の取締役経営企画本部長、常務取締役営業本部長を経て、2017年にアサヒグループ食品社の取締役副社長に就任。食品企業の経営を経験し、2019年より代表取締役社長に就任。
 

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越智仁・三菱ケミカルホールディングス社長、若林久・西武鉄道前社長、中山泰男・セコム社長(現会長)、永野 毅・東京海上ホールディングス社長(現会長)、尚山勝男・アサヒグループ食品社長、杉江俊彦・三越伊勢丹ホールディングス社長、服部一郎・アニモ会長、小山正彦・プリンスホテル社長、布施孝之・キリンビール社長、原典之・MS&ADホールディングス社長(三井住友海上社長)、塩澤賢一・アサヒビール社長、中田誠司・大和証券グループ本社社長、車谷暢昭・東芝会長CEO(現社長CEO)、芳井敬一・大和ハウス工業社長、金川千尋・信越化学工業会長、西田義則・大成ロテック社長、中内功・旧ダイエー創業者

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大塚 英樹(おおつか・ひでき)
1950年、兵庫県に生まれる。ジャーナリスト。テレビディレクター、ニューヨークの雑誌スタッフライターを経て、1983年に独立し、新聞、週刊誌、月刊誌で精力的に執筆。逃亡中のグエン・カオ・キ元南ベトナム副大統領など、数々のスクープ・インタビューをものにする。現在は国際経済をはじめとして、政治・社会問題など幅広い分野で活躍。これまで1000人以上の経営者にインタビュー。ダイエーの創業者・中内功には1983年の出会いから、逝去まで密着取材を続けた。
著書には『流通王─中内功とは何者だったのか』『柳井正 未来の歩き方』『作らずに創れ! イノベーションを背負った男、リコー会長・近藤史朗』『会社の命運はトップの胆力で決まる』(以上、講談社)、『続く会社、続かない会社はNo.2で決まる』(講談社+α新書)、『「使命感」が人を動かす─成功するトップの絶対条件』(集英社インターナショナル)、『社長の危機突破法』『確信と覚悟の経営』(以上、さくら舎)などがある。

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