地球帰還まであと2日!「はやぶさ2」が成し遂げた「宇宙史」的快挙

生命の「由来」を知るための旅
林 公代 プロフィール

「よくあいつはあそこまでやり遂げたな」

――上坂監督は「はやぶさ2」の探査を精密に描くことで、まるで自分が探査をしているような気持ちになる、と港区立みなと科学館の11月15日の講演で話されていました。改めて「はやぶさ2」の旅路をふり返って感じたことは?

上坂:映像化の作業は文章と違って、ものすごく具体的に色々なものを決めていかないといけない。突き詰めていくと自分がリュウグウ上空8.5m、着陸直前の場所にいるような気持ちになるんです。その時「はやぶさ2」がどういう感じ方をするのかなという発見がある。ミッションを知れば知るほど、「あいつはよくあそこまで自律でやり遂げたな」と感じます。

――たとえば?

上坂:皆さん忘れてますけど、リュウグウって自転しているんですよ。CGでは、リュウグウは止まっていて「はやぶさ2」はただ降りていくように見えるかもしれません。でも実際は地面が動いていて、それをトラッキング(追跡)しながら、指定の場所に精度よく降りる。ものすごいことだと思いますよ。

――2回目の着陸は誤差60センチ。3億km彼方の小惑星に誤差60センチって凄いですよね。

上坂:びっくりですよね。その精度も、リュウグウにいる間にどんどん上がっていきました。プログラムを書き換えるのではなくパラメーターの精度をあげていった。ミッションの間に探査機もチームも成長していったのです。

――「はやぶさ2」はリュウグウでどんな気持ちだったのでしょうか。

上坂:心細いでしょうね。リュウグウ到着前、真っ暗な宇宙空間を道路も何もないところをまっすぐ飛んでいくのも心細かったでしょうね。

(c)HAYABUSA2〜REBORN製作委員会
 

――初代「はやぶさ」は次々とトラブルに見舞われ、ドラマティックでもありました。「はやぶさ2」はうまくいきすぎたがために映像化しにくい点はありましたか?

上坂:「はやぶさ」があったからこそ、弱点を克服して進化系になっている。正直小さいトラブルぐらいあるかなと思いましたが(笑)、結果としてトラブルがなくて本当に良かったと思います。

――「はやぶさ2」の津田プロマネも「きちんとした技術はドラマにはならない」と記者会見で話していました。「はやぶさ」から受け継がれたものとはなんでしょうか。

上坂:機械的な改良は色々していますが、一番大きいのは初代のミッションチームのノウハウが次の世代にちゃんと伝わっていることですよね。それから初代は小惑星イトカワにいる期間が約3ヶ月間と短かった反省から、「はやぶさ2」は1年半リュウグウに滞在して十分な検討や準備を重ねることができたのも大きいと思います。

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