提供:公益財団法人 笹川平和財団

世界で問題視されている性別による格差=「ジェンダーギャップ」。SDGsゴール5、8、14、16、17の分野に取り組む笹川平和財団はその格差をなくすため、様々な活動を行っています。女性が輝ける世界をつくるため、私たちにもできることがあるんです。

ジェンダーレンズをかければ
世界は違って見えてくる

“ジェンダーレンズ”という言葉を聞いたことがあるだろうか? 世界では性別の違いによって生じる格差が大きな問題になっている。たとえば政治や経済活動への参画や教育水準、健康など、本来平等に与えられるはずの権利が性別を理由に理不尽に損なわれてしまう。そうした格差は「ジェンダー・ギャップ指数」という数値で各国ごとに算出されており、その格差の大きさは日本でも問題になっている。“ジェンダーレンズ”とはそうした不当な格差をなくすため、ジェンダーを意識したレンズ(めがね)をかけて世界を見ようという考え方だ

インドネシアのジャカルタで加工野菜の会社を起業した女性。子どもでも野菜を食べやすいようにと、ケールを使ったチップスなどを開発している。 ©Sunkrisps 

たとえばジェンダーレンズをかけて日本の「働き方」という問題を見てみると、社長や企業経営陣に占める女性の割合は10%以下。政治の面でも女性の国会議員や大臣の数は圧倒的に少ない。普段はあまり気にしていなかったけれど、ジェンダーレンズを通して見ると、「あれ、なんで?」と気づく。そしてその理由が知りたくなる。

国際理解や国際交流、国際協力を推進する笹川平和財団は、女性が社会で果たす役割に視点を据え、性差による不平等を是正するための女性への経済的支援や、女性のエンパワーメントに寄与する起業家の支援などを続けている。2020年にはオーストラリア政府外務貿易省と共同開発した「ジェンダーレンズ・インキュベーション・アクセラレーション・ツールキット(GLIAツールキット)」を発表。これは東南アジアの女性社会起業家を取り巻く課題を解決することを目的に、東南アジア各国で活動する起業家支援機関に向けてつくられたガイドブックで、ジェンダーレンズを取り入れることで女性の起業をサポートし、経済的自立の機会を創出することを目的としている。

「東南アジアでは女性の就職率が低く、農村部では起業したほうがいいという場合があります。起業しても伝統的に男性が強い社会では小規模なものに留まる傾向にあり、そうしたジェンダーギャップを打開するために、GLIAツールキットを活用してもらえたら」(笹川平和財団ジェンダーイノベーション事業グループ/松野文香さん)

また同じく男女格差の大きいミャンマーでは、ジェンダー課題解決に取り組む事業を行う起業家を対象とした事業計画の発表・コンテストを開催。選出された起業家は今後笹川平和財団とともにパイロットプロジェクトを実施する予定だ。

「ジェンダーギャップは日本でも問題になっており、最新の『グローバル・ジェンダー・ギャップ・レポート』では153ヵ国中121位にランクされ、2018年から順位を11下げています。経済分野においては先進国の中ではイタリア、韓国についで3番目に格差が大きく、指導的立場に就いている女性の割合は15%。収入は男性の約半分です。また日本の国会(衆議院)における女性議員は10%で世界でも最低レベルです。こうした課題を解決するためには、国や民間企業の取り組みも大切ですが、ひとりひとりがジェンダーレンズを通して自分を取り巻く社会を見ることも欠かせません。毎日のお買い物はもちろん、これから投資に挑戦したいという人は、どんな企業を支持し資産を投じるのか、ジェンダーの視点に立って考えていただけたらと願います」

私たちにもできるジェンダーレンズ【1】
毎日の買い物を見直してみる

毎日の買い物で女性を応援する

インドネシアの貧困エリアに住む女性たちの生活環境改善を目的に、地元のヤシの葉を使ったハンドクラフトの製作・販売を行うDu Anyam社。スリッパは日本の航空会社などでも使われている。©Du Anyam 

「買い物は投票」という言葉がありますが、ジェンダーレンズをかけてショッピングをすることもまた、女性を支援することにつながります。たとえば企業内でジェンダー平等実現に取り組む会社の商品や、女性目線で開発されたプロダクトを選ぶなど。笹川平和財団ではアジア3ヵ国の企業のジェンダー平等ランキングを公表しています。そうした指標やデータを商品選びの参考にするのもひとつのアイデアです。

労働における男女平等が達成された場合、2025年までに世界のGDPは28兆ドル増加します(マッキンゼー)。ジェンダーギャップを埋めることは経済の活性化を押し進め、世界を今より豊かにすることにつながるのです。

女性は収入の最大90%を子どもや家族に再投資しており、それは社会的なインパクトの創出につながっています(国連)。女性の社会進出が進み収入が増加すれば、より暮らしやすい社会に変わるはずです。

東南アジアの女性事業主は男性事業主の場合より17%多く女性従業員を雇用しています。女性の事業主に投資すると女性の従業員がより増えることが期待されます(APEC)。そうした会社の商品を選ぶことも支援に。

私たちにもできるジェンダーレンズ【2】
女性を支える投資をしてみる

個人でもできる“ジェンダー投資”って?

笹川平和財団が開発したGLIAツールキットを使って女性起業家をサポートするインステラー(社会起業家支援機関)の社長と担当者。

「ジェンダー投資」とは環境や社会問題に配慮する投資の一種で、女性の金融アクセス向上、就労環境におけるジェンダー平等実現、女性に配慮した製品・サービス提供を行う事業などに投資をすること。そうした投資によって企業を支持することでジェンダーギャップ縮小を推進し、金銭的なリターンも得ることを目指す、いわば資本市場を使って社会をよりよくする活動です。投資もまた女性を応援する大切な一票なのです

女性起業家が経営するインドネシアの加工野菜製造会社で働く社員。

女性の顧客を持ち、イノベーターとして女性を登用している企業は、そうでない企業より14.4%も高い事業成功率を有します(CTI)。そうした企業への投資は社会的・金銭的利益を両立できる可能性が高くなります。

マイクロファイナンス(貧困に陥った人々に対する小口融資)機関では、女性は平均して男性より低い債務不履行率を保っています(世界銀行)。女性事業主に投資することはリスク回避のひとつの選択でもあります。

アメリカのフォーチュン誌が発表する全米企業番付上位500社の中で、女性の役員比率の高さが25位に入る企業群は同比率が最も低い25%の企業群に比べて株主資本利益率が53%上回っています(デロイト)。

【お問い合わせ】
公益財団法人 笹川平和財団

提供:公益財団法人 笹川平和財団

●情報は、FRaU SDGs MOOK Money発売時点のものです。
Text & Edit : Yuriko Kobayashi