新垣りえさんは体外受精など不妊治療の末、自身の仕事で台湾で卵子提供を受けて出産しました。台湾の育児で驚かされたのは、「母親が他人の力を借りるのが当然」という空気があったこと。日本で大変な育児の話を聞かされてきたからこそ、「力を借りて当然」という空気や国のサポートのおかげで、女性が出産・育児を決断しやすい環境にあることも身に染みて感じたといいます。
そんな台湾での子育て事情を伝える連載「他人力育児」、最終回の今回は、他人力を借りまくるといっても、働き方を大幅に変える必要があった新垣さんの大改造の内容について伝えてもらいます。

いくら他人の力を借りるとしても、乳幼児を育てながら「以前と同じような働き方」というのは無理。ではどうやって何を変えたのでしょうか。

漫画/すぎうらゆう

社長も子育てにはタジタジ…

マンガ/すぎうらゆう

「出産前と同じやり方で」仕事はできない

この連載を通じて、他人力を借りまくって育児をしていることをお伝えしてきたので、「乳幼児がいながら、出産前と同じように仕事ができるのは本当にうらやましい」と言われます。この点は、若干誤解があります。こなしている仕事の量と質は出産前からほぼ変わっていませんが、仕事のやり方は大改造する必要がありました。週7日間体制で助けてくれる住み込みのナニーさんがいるので、育児の方は大いに楽をしていると思いますし、楽しむ余裕も残っています。それでも、育児をしながらの仕事は決して楽勝ではありません。

ビジネスの世界では、リーダーに必要な資質として、VUCAに対応できる力が挙げられます。VUCAとは、Volatility (変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)のことです。昨今のコロナ禍で、より必要性が強調されるようになりました。乳幼児はまさに究極のVUCAで、どんなに他人力を借りても、母親の忍耐力や対応力が試されます。私自身、仕事におけるVUCAへの対応力にはそこそこ自信を持っていますが、新米の母親としては息子のVUCAに対応することには四苦八苦しています。

いつもは21時に寝てくれるのに今日は23時を過ぎても寝てくれないとか、ある朝唐突に母乳を拒否しはじめたり、機嫌よく離乳食を食べているかと思えば、急に大量に吐き戻したり、本当に想定外のオンパレードです。仕事でもVUCAにさらされている母親が、キャパシティ100%超で稼働することを常としていると、この育児における小さな想定外が一つでも起きると大変なことになります。だから本当は、育児と仕事を合わせて、自分のキャパシティの95%を超えないようにしておくのが理想なのだと思います。私の場合は、育児の方は他人力で大分楽をしているので、この5%の余裕は仕事のやり方を意図的に変えることで捻出しています。

改造1:優先順位が低いタスクは「割り切って」やらない

改造2:決めた時間に会社を「絶対」出る

改造3:コミュニケーションツールを「徹底」活用

改造4:仕事NG時間帯を周囲に「繰り返し」伝える

改造5:外したくない行事は職場カレンダー上で「死守」

ではその改造の内容とそのためにどんなことをしていったのかをお伝えしていきましょう 。