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菅首相の学術会議つぶしは「計算ずく」だったと言えるワケ

その先にあるのは「自民党の宿望」

なぜ日本学術会議を燃やしたのか?

菅政権の発足直後から、連日にわたって大きな騒動となり、いまだに燻ぶり続けている「日本学術会議会員の任命拒否」問題。

6人の学者の任命を拒否したことについて、首相が当初「総合的かつ俯瞰的に判断した結果」などと、実質的にはほとんどなにも言っていないに等しい曖昧な説明を行ったことで、ネットやマスコミではさまざまな憶測が飛び交い、多くの批判が噴出した。この論争はセンセーションを呼び、結果的には知名度も一般の関心も低かった「日本学術会議」の存在に、大きな注目が向けられることになった。

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他誌で私は「菅首相は、任命を拒否することが学術界において大きな “騒ぎ” を引き起こしそうな著名な学者6人を、あえて拒否したのではないか」――と指摘した。それは、いくら叩かれたとしても、最終的には国民の多数を味方につけることができるだろう、という十分な「勝算」を菅首相が見出していたからだ。

実際のところ、アカデミアやマスメディアからの「学問の自由の侵害だ」といった批判の声とは裏腹に、世論調査によれば、菅首相への批判はそれほど広がっていないことが明らかになっている。

〈日本学術会議の新しい会員として推薦された6人の任命を菅義偉首相が拒否したことについて、「問題だ」と答えた人は37%で、「問題だとは思わない」は44%、「どちらとも言えない」は18%だった。「問題だ」と答えた人の8割近くが、菅内閣を「支持しない」と答えており、任命拒否問題が支持率低下の一因となったようだ。ただ、支持率の下落は7ポイントにとどまっており、この問題への批判は広がりを欠く面もあるようだ。

菅政権が学術会議のあり方について見直しを検討していることについては、「適切だ」が58%で、「適切ではない」の24%を上回った。「わからない」は18%だった。学術会議の改革を求める声も強いことがうかがえる〉
(毎日新聞『内閣支持率7ポイント減、57% 「任命拒否は問題」37% 毎日新聞世論調査』2020年11月8日より引用)

それどころか、この毎日新聞の世論調査によれば、菅首相は国民の関心を日本学術会議へ巧みに引き寄せ、さらには「日本学術会議のあり方を見直すべきだ」という世論を形成させることにさえ成功しているように見える。まずは大きく揺さぶって相手を慌てさせ、「話し合い」の場に引きずり出す。そして、自分たちの望む方向へと半強制的に「ナシ」をつける――そうした手法を菅首相は用いたのではないだろうか。