トランプ「王国」崩壊のウラで、いまアメリカで起きている「本当のこと」

2020米大統領選の知られざる真実

米国民がコロナ禍に怯える中、敗者が敗北を認めない前代未聞の大混乱に至った今回の大統領選挙。「それでもトランプを支持する人々」の強い思いとは何か。社会の分断が深まってなぜ世論調査が困難になったのか。4年前の前回選挙の直後から、「王」トランプとその支持者たちを取材し続けてきた立岩陽一郎氏が、今回も投票日前後の米国で人々の声を聞き、異例の選挙の分析や今後の予測とあわせてレポートする。

トランプ王国はなぜ崩壊したのか photo/gettyimages
 

「トランプは法廷で闘え」と言う人々

「大統領にはそれをする法的な権利があるよ」

私へのメールにこう書いてきたのは米ジョージア州在住の古い友人、デール・バーク氏だ。

米大統領選からおよそ10日後、全米のメディアが、ジョー・バイデンの選挙人獲得人数が306に達し、半数の270を超えるどころかトランプ大統領に大差をつけたと報じていたときのことだった。トランプは負けを認めず、法廷闘争で勝とうとする姿勢を崩していなかった。

そのことへの意見を求めた私のメールへの返事で、バーク氏は冒頭のように記し(「それ」とはもちろん法廷闘争のことだ)、さらにこう続けていた。

「法廷闘争は主張されなければならないし、入念に調べられなければならない」

バーク氏は私と同年代の白人男性で、彼が在住する南部のジョージア州はトランプ支持者が多い。大手ボトリング会社の地域マネージャーを務め、緑豊かな住宅地に立つ大きな家に妻と小学生の子供と住んで、地域の活動にも精を出す。

「アメリカの良きお父さん」を絵に描いたような好人物で、夫婦ともにトランプ支持者である。