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美味しい「日本ワイン」の舞台裏にあった、製造会社の真っ直ぐすぎる経営

「サントネージュワイン」久光社長にインタビュー

アサヒビールのワイン製造会社、サントネージュワインを取材した。社名はフランス語で「聖なる雪」の意。同社の工場や葡萄畑がある甲府盆地からは、ふと顔を上げると雪をたたえた富士の頂が見えることからこの名になったという。商品は華々しい受賞歴を誇る日本ワイン「サントネージュ」のほか、「酸化防止剤無添加のやさしいワイン」、ペットボトル入りで気軽に飲める「リラ」等が知られる。社長は、アサヒグループのニッカウヰスキーでブレンダーとして活躍したのち、'19年からワイン造りに携わる久光哲司氏(62歳)だ。

よい酒を造るのに、トリックはない

ニッカの創業者で、ドラマ『マッサン』のモデルになった竹鶴政孝は「ウヰスキー造りにトリックはない」という言葉を遺しています。サントネージュに来て、この言葉はワインにもあてはまると感じました。

よいワインはよい葡萄から生まれ、よい葡萄はよい土壌や人の手間から生まれます。

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例えば当社は山梨県や山形県の標高が高い適地に葡萄畑を持ち、時に雑草を手で抜き、葉が房を隠したら除き、さらには私以下社員総出で夜中に収穫を行うこともあります。

「ナイトハーベスト」といって、夜中、葡萄に貯まる香気成分があるからです。大変ですが、ごまかしはききません。

ウイスキーは、樽の香気成分が長期間かけ原酒に移っていく「時間が造る酒」でした。一方ワインは「自然が造る酒」だと感じます。気候や風土に敬意を払い、必死でその力を活かすことで素晴らしい一滴ができるのです。

ニッカの役員としての務めを終え、妻と「温泉めぐりでもしようか」と話していたところに、当社の社長就任を依頼されました。

ひっくり返るほど驚きましたが、「私の経験がワイン造りで役に立つなら」と考え、山梨に来ました。

 

ここでは「僕の舌を試してみるぞ!」という気持ちはなく、仲間たちがおいしいお酒を造れる環境を整えようと思っています。

大切にしているのは、仲間の話をよく聞くこと。新たな仲間もニッカ同様、いい意味で頑固で、かつ勉強熱心です。