〔PHOTO〕gettyimages

「大阪都構想」再否決、それでも維新は驚きの「3回目」を狙う?

維新戦略の失敗とその後

なぜ「大阪都構想」は再否決されたのか

大阪での維新の「一党優位」は、大阪市廃止構想(いわゆる大阪都)のアピールなしには成立しない。

逆に、「大阪都」の方は、今回、府会・市会での一党優位と、府市の長期政権による行政組織の掌握つまり情報のコントロールにもとづき、国際的にも異例の「短期間での2度目の住民投票」に挑戦したが、それでも住民投票では敗北した。

維新は「小差の否決」と主張するが、「前回よりバージョンアップした」と誇る設計図で、かつ知事・市長、府議会、市議会での圧倒的優位を築きあげ、前回反対した公明を「小選挙区で対立候補を立てる」と威嚇して賛成に回らせ、さらに不利な重要事項に触れない一方的説明を行政機関まで動員して徹底しても、なお市民の反対が多かったことの重みを、認識していただきたい。

アメリカ大統領選挙でも僅差が起こるが、今回のトランプ大統領の他は、選挙結果を尊重し敗北を潔く認める。

ゆえに、制度変革(制度いじり)でアピールしつつ権力集中を図る維新の戦術はこれで終了してもらい、それによって忘れ(させ)られていた、大阪の未解決の政策課題への取り組みに、知事・市長そして議会、有権者、マスコミはシフトするべきだろう。

なお、国政と同じく地方政治でも、1つの政党の長期政権はさまざまな見落しや弊害を生み出すことがありうる。

政治学的には、「ポピュリズム」「市民社会論」【注1】など、いろいろ分析できるが、おもに政治コミュニケーションに限ってまとめると、今回2度目の住民投票でも「大阪都」が再否決され、大阪市が存続できたことには、大きく4つの原因がある。

〔PHOTO〕iStock
 

(1)反対派の多彩な情報発信、市民の常識的な判断

最初、世論調査などで維新の優位が伝えられたが、短期間での反対派の活動は、前回2015年並みまたはそれ以上の広がりと強さを見せた。

市会の自民党、共産党、(2017年の「小池・前原作戦」による党分裂もあって市会に議席のない)立憲民主党など、および市民団体、労働組合、れいわ新選組、(維新から個人攻撃を受けるリスクにもかかわらず)勇気あるマスコミ人、芸能人、研究者が、「大阪都」の問題点や批判を情報発信した。

今の政令指定都市に比べて、特別区は権限・財源が小さく、大幅な格下げになるという情報も、繰り返し発信された。SNSが貢献したが、デモも企画され、新聞でプラカードの写真入りで報道された。

「大阪市存続」という誤解を招きかねない2015年の詐欺的な投票用紙が、市民の請願(陳情)の市会での採択と、大阪市選挙管理委員会の誠実な対応によって改善された(反対する人々のデモの様子は、朝日新聞2020/10/10うずみ火2020/10/11などの写真で見ていただきたい)。

新聞社の出口調査を見ると、公明支持層の半分、無党派層の多数、維新支持層の一部までもが、反対票を投じた。大阪市廃止への不安、そこまでする必要性が分からないという率直な感覚とともに、区ごとの賛否率の違いを見ると、市の周辺地域での24区制度や地名への愛着も、作用したと思われる。

なお、全国紙の大阪本社の新聞記者などは、東京等から移ってきて数年間だけ在阪し交替するためか、維新の宣伝を真に受けて「府と市はずっと対立してきた」「停滞していた大阪を維新が活性化した」と簡単に書いてしまう(いずれ異動するので、大阪の発展や住民サービスにも実は関心がない?)。

こうした解説がおおいに疑わしいのは、維新が決めた新規プロジェクトは重要であっても設計・建設中であり、実現に至ったのは、大阪城公園・天王寺公園の商業施設化、大阪観光局(しかし外国人観光の急増は全国現象)くらいであるからだ。姿を現していないプロジェクトによって、はたして都市が活性化するものだろうか。

むしろ、筆者を含めて長く大阪を見てきた人は、維新が登場する以前の大阪市(府との協力分担を含む)は、ムダもあったが政策アイデアと財源が豊富で、その決定推進した事業が今、大阪の活性化につながっていると考えるだろう【注2】。