2020.12.01

菅首相「温室効果ガス排出ゼロ」に難癖をつける感覚はズレてないか?

すでに125ヵ国もあるんですが…
夫馬 賢治 プロフィール

気候変動対策は経済のゲームルールチェンジ

4月23日には、同じく大手の機関投資家が集い、合計の運用資産が54兆ドル(約6000兆円)の団体「ICGN」からも、上場企業と機関投資家に対しメッセージが出る。上場企業に対しては、身体と精神の健康を正社員だけでなく契約社員に対しても確保し、株主配当を減額するか延期すべきと表明した。機関投資家に対しては、短期的なリターンを求めず長期的視座を維持し、気候変動への対策を継続するよう投資先企業に働きかけるべきだと伝えた。やはりこちらでも気候変動が重視された。

そしてこれらの機関投資家やグローバル企業の後押しを受け、EUをはじめ世界各国の政府は、「グリーンリカバリー」という名で、コロナ禍での経済刺激策に気候変動対策の観点を統合させる政策を打ち立てていった。

 

このような海外の動きを背景に、6月頃からは日本でも再びESGやSDGsに関する報道が増えたり、新たな投資信託が売り出され始めたりした。企業でもESGに言及するところが増えた。そして、こうした流れの中で、日本政府からも10月に誕生した菅政権により、ようやく「2050年カーボンニュートラル」の政策が掲げられた形となった。ちなみに、2050年までのカーボンニュートラルを掲げている、もしくは掲げる準備を進めている国は、世界ですでに125ヵ国ある。特に先進国の中で日本政府の発表は非常に遅く、安倍政権は気候変動対策が「経済のゲームルールチェンジ」であることが理解できないでいたことを、対外的に露呈してしまっていた。

コロナ禍という新たな経済危機により、ESGへの関心はますます高まりを見せている。そういう市場環境下で生き残るためには、脱炭素化をすることでコスト削減する、サプライチェーンの労働者を保護することでコスト削減する、という感覚が重要になっている。これらが「ウルトラC」級の難題であることは、欧米でも理解されているが、その上でその難題にチャレンジしなければ、そもそも競争の土俵に上がることすらできず、淘汰されてしまうのだ。

だが、残念なことに、この点を何度伝えても、日本ではなかなか理解されない。それほどまでに日本人の感覚は、今ものすごく「ガラパゴス」状態にある。

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