英語版『鬼滅の刃』を読んでわかった、「柱」に込められた深すぎる意味

見事な「ダブルミーニング」だった
古川 順大 プロフィール

この「柱」という言葉がもつ固有名詞としての側面と、鬼殺隊を支える存在という側面の2つは、英語版の『鬼滅の刃』(英語タイトルは”DEMON SLAYER”)でうまく訳出されている。以下は冒頭で紹介した、煉獄杏寿郎のセリフの英訳だ。

Someday you guys will become HASHIRA and be the pillars of the Demon Slayer Corps.

英語版では、普段は「柱」は“HASHIRA”と訳されている。「柱」は固有名詞だという認識があるからである。

 

しかし、冒頭の煉獄杏寿郎の言葉の訳者は“ become HASHIRA(柱となれ)”と訳すだけでは済まさなかった。あわせて、“ be the pillars of the Demon Slayer Corps(鬼殺隊の支柱となれ)”と訳しているのである。煉獄杏寿郎が「柱」という言葉に込めて、竈門炭治郎たち伝えたかった2つのことを、どちらも損なうことなく表現した名訳である。

「柱」という呼び方の由来

『鬼滅の刃』に登場する柱たちの魅力は、組織の上に立ち支配するのではなく、組織を下から支えているところにある。

「柱」の由来は、「鬼殺隊という重荷を支える者」だけであろうか。もう1つの意味を探るために、日本における神話の始まりをみてみよう。

天地(あめつち)のはじめの時、高天(たかま)の原(はら)に成りませる神の名は、天御中主(あめのみなかぬし)の神。次に高御産巣日(たかみむすび)の神。次に神産巣日(かむむすび)の神。この三柱(みはしら)の神は、みな独神(ひとりがみ)に成りまして、身を隠したまひき(『古事記』)

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