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「挑戦」を英語で表現するには? 実はchallengeとは言いません

日本人が間違いやすい英単語
科学技術英語関係の仕事に長年携わり『理系のための英語論文執筆ガイド』『間違いだらけの英語科学論文』などの著書がある原田豊太郎さんに、誰もが知っているはずなのに実は理解していない人の多い英単語「challenge」について解説していただきました。

challengeは「疑う」と心得よ

challengeは「間違って非難する」という意味のラテン語起源の動詞で、主に他動詞として用いる。

英語における当初の意味は「告発する、非難する」であったが、現在はすたれ、使用されていない。一般英語では、「人」を目的語にとって「挑戦する、挑む」の意味でも使われるが、理系英語では、「異議を申し立てる」「疑う」の意味で用いることが多く、SVO型である。

challengeで最も注意したい点は、日本人はどのような場面でも「挑戦する」と訳し、また逆に、「挑戦する」という日本語に必ずchallengeをあてる傾向があることである。日本語の「挑戦する」とchallengeとの間には、意味・用法においてかなりのズレがあるので、十分に注意したい。

理系英語のchallengeは、「ものごとの正当性や能力・資質を問題にする、疑う」の意味で用いることが多い。

【例文1】
Galileo was the first to challenge this Greek view of motion.
(ガリレオは、運動に関するギリシャ人のこの考え方に疑義を唱えた最初の人物である)

このchallengeに対して、「考え方に挑戦した」ととらえても、当たらずといえども遠からずという感じになり、うっかり「挑戦」をあててしまいがちなので注意を要する。

【例文2】
Anti-nuclear groups have challenged the first report on other grounds.
(反核グループは、他の根拠に基づく最初の報告を問題にした)

2つの例文に見られるように、理系英語のchallengeは事実や理論、考え方などに疑問があり、異議を唱える場合に用いる。challengeにはまた、「能力を試す」の意味もある。

【例文3】
Designing the coils severely challenged ABC materials and structural engineers.
(コイルの設計により、ABC社の材料および構造関係の技術者は厳しく能力を試されることになった

名詞のchallengeも「挑戦」ではない

実はchallengeは、理系英語では動詞としてよりも名詞として用いることのほうが圧倒的に多い。名詞としてのchallengeは多くの場合、「大変なエネルギーや能力、労力を要する問題」の意味であるが、このchallengeもまた、「挑戦」と誤訳されることが多い。

【例文4】
Sail designers have long had to grapple with this engineering challenge.
(帆の設計者たちは長い間、この工学的難問と取り組まなければならなかった)

challengeには、派生語としてchallengingという形容詞もある。これも、うっかりすると「挑戦的」と訳しやすいので注意が必要だ。challengingは「やりがいのある、能力が試される」の意味であり、challenging problem、challenging task のように用いる。

【例文5】
This challenging golf course offers superbly kept large greens, plenty of water and sand hazards and a magnificent rolling terrain.
(この魅力的なゴルフコースには、手入れのゆきとどいた広いグリーン、豊かな水や砂のハザード、さらには美しく起伏にとんだ地形がそなわっている)

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