苦労3:海外の空港のチェックインで必ず止められる

「日本の旧姓併記が海外で通じないのは、ビザだけじゃありません」と続ける森田さん。「海外の空港でチェックインするときにも私は必ず止められます」。

海外の空港でチェックインする際は、パスポート・ビザ・IDカードなどの提示が求められるが、パスポートでKUMIKO(MORITA)SATOと表記されていても、パスポートのバーコードを通すとそこには森田さんの結婚姓(戸籍名/KUMIKO SATO)の情報しか見られない。そして、森田さんの空港券の名前は、海外出張のときには会社が予約しているから旧姓のKUMIKO MORITAだ。パスポート、ビザ、航空券の名前の表記が全て微妙に違うから、空港係員からいつも質問されるはめになる。

〔PHOTO〕iStock
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そんなとき、森田さんは日本の夫婦同姓強制を説明するのだが、その都度係員に「なるほど。だから、パスポートに “()”という謎の表記があるのねぇ。本当にお気の毒」と同情されるそうだ。

今のところ、英語に堪能な森田さんの出張先は英語圏の国ばかりだからよかったものの、森田さんの知らない言語の国の空港だったらきちんと説明できるか自信がない、と彼女は心配している。最悪の場合、飛行機に搭乗できない可能性もあるからだ。

苦労4:アメリカの運転免許証やIDがとれない場合も

晴れて駐在員としてアメリカに赴任し、さっそく森田さんは現地の運転免許証を取得しに行った。アメリカでは運転免許証は大人にとって必須の身分証明書だ。アメリカの飲酒年齢は21歳以上なので、見た目が大人でもレストランでアルコールを頼むときに身分証の提示を求められることがある。国際免許証は有効期限が1年と短いし、パスポートを常に携帯するのもなんだか不安だ。

というわけで、運転免許センターへ行った森田さんだったが、持参した書類の名前が統一されていないという理由で運転免許証を取得することができなかった。例えば、ソーシャルセキュリティカード(アメリカ版マイナンバーのようなもの)では“()”なしの、KUMIKO MORITA SATO、銀行口座は戸籍名のKUMIKO SATO、パスポートではKUMIKO(MORITA)SATO、と表記がバラバラだったのだ。

運転免許証を取得できなかった森田さんは、やむを得ず、州が発行するIDカードを取ろうとしたが、全く同じ理由で却下された。その後、アメリカにいる間はパスポートを常に持ち歩かなくてはいけなかった森田さん。免許がとれなかったので、徒歩&公共交通機関範囲で生活できるような場所に住まなければならず、買い物や空港への移動は、毎回夫に車を出してもらうはめになったという。