就業者の高年齢化が進む東京(photo by iStock)

若者が減れば「組織の自殺」が訪れる…高齢化が進む東京の末路

コロナ後の未来年表(3)
社会保障制度や医療への影響など、少子高齢化による課題は様々に浮かび上がっているが、就業者の高年齢化という問題を無視することはできない。これまで若い社員が担ってきた仕事をベテラン勢が担い、新入社員までを即戦力として期待せざるを得なくなる……ベストセラー『未来の年表』シリーズ著者でジャーナリストの河合雅司は、この現状をどう読み解くか。
 

東京が若さを失っていく

コロナ後の東京は、就業者の「老化」が大きく進みそうである。

東京都が今年10月に、都外からの通勤者を含む「昼間就業者数」の推計を公表したが、5歳区分で一番多い年齢階級は2015年の40~44歳(114万4000人)から2025年には50~54歳(124万人)に移り、2030年には55~59歳(119万9000人)へとさらに上昇するという。

以後、東京都が推計を行った2040年まで55~59歳がトップを維持する。

一番多い年齢階級が短期間で高年齢化するのは、第三次ベビーブームが起こらなかったためだ。人口ボリュームの大きい団塊ジュニア世代(1971~1974年生まれ)を含む年齢階級が、絶えず他の年齢階級より数が大きくなるのである。

2030年代後半になると団塊ジュニア世代は高齢者となり引退し始めるが、年間出生数は年々減っているため、今後は年齢が若い就業者ほど人数が減って行く。20~40代はいずれの年齢階級も、2040年まで減少し続ける予想である。

2015年と2040年を比較すると、25~29歳は77万9000人から63万8000人へと、14万1000人減る。35~39歳は97万7000人から72万2000人へと、25万5000人ものマイナスだ。

2040年の最多の年齢階級は、55~59歳の106万8000人であるが、20~24歳は48万4000人と、その半数にも満たない

若い就業者が減って行く(photo by iStock)

東京が若さを失っていく様は、市区町村ごとに昼間就業者の平均年齢を見ると、より鮮明となる。

2015年は渋谷区の42.6歳をはじめ、千代田区(43.8歳)、港区(44.0歳)、文京区(44.9歳)、新宿区(43.4歳)、豊島区(44.4歳)、武蔵野市(44.7歳)が平均年齢45歳未満であったが、2040年になると、45歳未満はぎりぎり44.9歳の渋谷区のみとなる。

反対に、52.3歳の足立区など11区14市町村では50歳以上となり、檜原村では56.5歳に上昇する見通しだ。

若者の流入が激減する

東京が急速に若さを失っていく背景には、東京特有の事情もある。

「一極集中」という言葉に代表されるように、これまで地方から若者を吸引することで「街としての若さ」を保ってきたが、東京へ送り出してきた地方で若者が激減するため、こうしたカラクリは続かなくなるのだ。

しかも、それは東京都の出生数減を加速させる。東京都の合計特殊出生率は全国最下位(2019年は1.15)であり、「子供が生まれにくい街」などと称されるが、実は出生数は群を抜いて多い。2019年は10万1818人で、この年に生まれた子供の8.5人に1人は東京都生まれなのだ。

出産可能な年齢の女性が多いことが理由なのだが、こうした女性の数を押し上げてきたのが、他ならぬ地方出身者なのである。

上京後に結婚相手を見つけ、そのまま東京で子育てを続ける若者は少なくない。地方からの若者の流入が減ることは、母親になり得る年齢の女性数が減るということであり、同時に東京都の出生数の落ち込みが激しくなることを意味する。