伊藤秋子さん(35歳、仮名)は、東京都内で会社を経営する正大さんと結婚し、夫の実家の近くのマンションに暮らし始めました。その家選びの段階から姑が口を出してきて秋子さんは違和感を抱いていたのですが、本当のモラハラ地獄はここから始まったのです。
秋子さんは結婚を機に仕事を辞めて専業主婦になりました。結婚生活に慣れたらいずれ婚家の会社に入り、正大さんをサポートしながら夫婦で会社を継ぐ、そんな将来像でした。正大さんも舅も姑も、それでいいと言ってくれていました。
ところが…しばらくの間は会社には関わらず専業主婦として新婚生活を落ち着かせることを優先するはずだった秋子さんの元に、毎日のように姑から電話やメール、訪問があるのです。姑からの連絡の内容は、
「会社に来て掃除をしろ」
「来客があるからお茶出しを手伝え」
「教えておかなくてはならない事があるから今から行く」
など。ある時、たまたま家事がひと段落ついて一息ついていた秋子さんが、突然訪問してきた姑のインターホンに反応するのが遅れたことがありました。
玄関先で「すみません、ちょっと休憩しちゃってました」と笑顔で普通に話したら、みるみる姑の表情が変わりました。
「夫が一生懸命働いているときに休憩だなんて! 嫁いできた自覚が足りない!」
と怒鳴られ、秋子さんは台所の冷たい床に正座させられたままお説教をされました。しかし少し前に姑は秋子さんに「毎日午後に少しお昼寝しているのよ」と話していたのです。「自分が昼寝をするのはよくて、私がちょっと一息つくのはダメなの?」と理不尽に感じました。