店舗は持たない。定価で売り切れる量を作りセールをやらない。無人の試着会を開催……などなど既存アパレルブランドの常識を覆し、独自の方法でファンを増やし続けるfoufou(フーフー)。デザイナーのマール コウサカさんが考える新しい服作りの在り方、そして、新しいラグジュアリーの考え方についてお二人にお話していただきます。

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それは一輪の花のように。この言葉とともにSNSにアップされたコート。イマジネーション豊かな言葉もfoufouの世界の特徴。衿は洋服の顔である、の考えのもとにしっかりとした芯を入れたクラシックモダンなデザインのトレンチコート。肩章や小さめのガンフラップなど、あえて伝統的なディテールを取り入れ、今だからこそ着たいトラディショナルな一着に。

誰も幸せにならない不健康なサイクルを一新

——foufouは実店舗を持たず、オンラインのみの販売です。それは、従来のアパレル業界が抱える過剰な在庫やセールなどを行わないため。デザイナーも職人も服を買ってくれる人もみんなが幸せになれる「健康的な消費のために」という姿勢ですこやかな服を作り続けています。

森岡 こういった販売方法は初めて聞きました。彼らは店舗を持たない代わりに全国各地で試着会をやるそうですね。そこで服は売らず、その後、オンラインで買ってもらう。買うまでに時間を置くことでファンにきちんと服を見せ、着てもらい、売る。そうすると買う人は普段以上に納得できますよね。
中野 現代のアパレルシステムが悪循環であるのに、誰も改めようとしないというところに彼は怒っているのだなと思います。一つは服を作りすぎていて作る人にシワ寄せがきてしまい、結局誰も得をしないという不健康なシステム。その点、彼の服はプロパー消化率が90パーセント以上であり、非常にすこやかなビジネスサイクルになっている。
森岡 これはもう本当に革命に近くて、店舗を持たないというのが大きな要因だと思います。原価率が50%というのもすごい。それは今の若い人の特性として価値観がまっとうなんですよ。身の丈以上のお金は無理しては欲しがらず、結果として儲かったとしても、彼らは普通にストレスなくご飯を食べらればいいぐらいの感じ。そういう新しい価値観があるからこそ、生まれたサイクルなのだなと思います。

一着で4メートルの生地を使用することもある、しっかりとした生地で作られたシグネチャーの「THE DRESS」シリーズ。重量感があるので、背筋を伸ばさなければ着られない。だからこそ尊厳のある雰囲気を漂わせることのできる服。
 

日常が楽しくなる、機能性を脱した服

——便利で効率のよいものが溢れる世界で、foufouは一貫して真逆の思想でものづくりをしています。たとえば、一着に4メートルの生地を使用することもあるボリュームたっぷりの「THE DRESS」シリーズのコンセプトは「退屈な日常をドレスで踊れ」。あえて機能性を無視して自分たちの作りたいものをぶれずに作り続けています。

森岡 彼らのやっていることは、つまり自分たちの服を大切にすること。ビジネスモデルとして、服は服でも他と全くアプローチは異なり、ある意味、みんなバットで殴られたみたいな衝撃を感じる方はたくさんいるんではないですか?
中野 そうですね。また、彼が怒っていること2点目がまさにそのことですよね。安くて機能的だけれども気持ちが全然高揚しない服が溢れすぎていることに対して、アンチテーゼを出している。結果、カーテンみたいに重たい、どちらかというと非機能的な服で、けれども、それを着てくるくる周る日常を嬉しく思う人に対してアピールしている。ニューノーマルになり、日常とは何かということをみんな問うようになりました。機能的で安い服ばかり着ていても、楽しくない。だから、このマールさんが提案する日常というのは、なんでもない退屈な日常を、この重たいカーテンのような服を着てくるくる回り、輝かせようということ。日常でドレスを着よう、日々をキラキラさせよう、世界の主人公として生きよう。そういう発想なので非常に面白いなと思います。

「夏をドラマチックに纏う方法」、略して「夏ドラ」シリーズとして、地味な色が多いfoufouで毎年一着だけ作られる赤いワンピースの素材は、あえて、シワになりやすいけれど夏らしさを満喫できる綿100%。