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新型コロナに95%の予防効果「mRNAワクチン」とは何なのか

ウイルスの突然変異にも対応できるのか

「数週間で生産できる」との見方も

米ファイザーの新型コロナ・ワクチンが早ければ来月半ばにもFDA(食品医薬品局)から承認され、医療関係者など一部対象者に向けて接種が始まる見通しだ。また米国のスタートアップ企業モデルナのワクチンも、その後を追って実用化される公算が高い。いずれも数万人の被験者を対象にした臨床試験で「95%の予防効果がある」と報告されている。

両ワクチンとも、細胞内の「mRNA(メッセンジャーRNA)」という遺伝物質を人工合成して得られる医薬品であることから「mRNAワクチン」と呼ばれる。その最大の長所は、開発に要する期間が極めて短いことだ。

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従来の不活化ワクチン等の場合、実際に感染症を引き起こすウイルスを科学者が入手してからでないと開発に取り掛かれなかった。また、開発から製品化までには5~10年以上を要するとされた。

これに対しmRNAワクチンでは、インターネット等を通じてウイルスの遺伝情報(塩基配列)さえ分れば、本物のウイルスを入手する必要はない。また自由度の高い遺伝子操作が可能であることからも、極めてスピーディに開発・製品化に漕ぎ着けられると見られている。

実際、ファイザーとモデルナのmRNAワクチンは、今年1月の開発開始から1年もかからず今月の緊急使用申請に漕ぎ着けた。また理論的には、1年はおろか「数週間で(ワクチンを)生産できる可能性がある」(アメリカ国立アレルギー・感染症研究所所長のアンソニー・ファウチ博士)という。

このため仮に将来、新型コロナ・ウイルスが突然変異を遂げたとしても、mRNAワクチンなら迅速に対応してパンデミックを食い止めることができるかもしれない。だとすれば人類にとって、これほど心強い味方はないだろう。

 

mRNAはまた、他の感染症のワクチンあるいは癌など様々な病気の治療薬にも応用できそうだ。今回の新型コロナ危機を契機に、「mRNA」という新しい医療分野が誕生するとの見方が強まってきた。

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