1956年1月ハンガリーの戦争孤児寮を訪問した金日成(映画『金日成の子どもたち』より)

北朝鮮も知らない…東欧に送られた北朝鮮孤児たちの「隠された歴史」

映画『金日成の子どもたち』が問うもの

朝鮮戦争から70年

米中間の覇権争いが激化する中、開戦70周年を迎えた「朝鮮戦争」が、国際社会から新たな注目を集めている。

1950年6月25日未明、ソ連の後援を背景にした北朝鮮の金日成(キム・イルソン)勢力が韓国を奇襲侵攻して始まった朝鮮戦争は、全世界で20以上の国家が参戦した世界大戦であり、西側自由主義陣営と東側社会主義陣営との「代理戦」の様相を呈していた。

序盤、戦況は奇襲された韓国側に絶対的に不利だったが、米軍をはじめ21ヵ国の国連軍の参戦を契機に戦況が逆転、韓国軍と国連軍は一気に平壌を陥落して鴨緑江(アプロクカン)まで攻め上がった。そこへ、10月25日、東側諸国の支援を受ける中国の中華人民支援軍が参戦、朝鮮半島全域を交互に占領する熾烈な戦いが約3年間も続いた。

1953年7月27日、韓国側の参加なしに、アメリカや中国、そして北朝鮮が休戦協定を締結し、3年1ヵ月間にわたる戦争は一応「休戦」に至ったが、朝鮮半島には現在も、北緯38度付近に設定された休戦線を挟んで異なる二つの体制が共存している。

板門店〔PHOTO〕Wikipedia

冷戦時代最初の戦争となった朝鮮戦争だが、参戦国の中国では大々的な「抗米援朝」キャンペーンが進められている。習近平主席は朝鮮戦争を「(米国の)侵略に対抗した正義の戦争」と宣言し、マスコミはもちろん文化界まで総動員して中国人の愛国心を鼓舞し、米国に対し決死抗戦の姿を鮮明にしている。

北朝鮮も、10月10日の朝鮮労働党創建75周年を記念する大規模閲兵式で、多弾頭化が図られた新型ICBM(大陸間弾道ミサイル)やSLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)などの最新兵器や新型通常兵器まで公開し、韓国と米国を緊張させた。

しかし、政権発足以降、親北朝鮮・親中国的スタンスを維持している文在寅(ムン・ジェイン)政権は、中国の「歴史歪曲」や北朝鮮の「挑発」に対して、いかなる抗議も遺憾表明も出していない。

 

6月25日に開かれた朝鮮戦争70周年記念式典に出席した文在寅大統領は、終戦宣言と韓半島の平和定着だけを強調し、北朝鮮の侵略行為の不当性や戦争の惨状などには一切言及しなかった。

韓国公営放送のKBSは、米軍や韓国軍による民間人虐殺を扱った朝鮮戦争の特集ドキュメンタリー番組を放送するなど、北朝鮮の蛮行よりも韓国と米国側の過ちにフォーカスした。