コロナで「医療崩壊」危機…死に直結する「患者切り捨て」をどう考えるか

大阪知事も「病床トリアージ」を表明した
美馬 達哉 プロフィール

医療従事者側からみると…

医師の立場からみれば、救急室で急患を前にして、助ける手段があることは分かっているのに、設備不足のために手をこまねいているのは断腸の思いだろう。

そんなことをなくすためにICUの有益性を高めるために効率的に運用することの必要性には、まったく同感だ。

だが、医療資源配分ルールだからという理由で、感染予防の細心の注意を払って挿管して救命した患者の治療を中止して死ぬに任せるのもまた、現場の医療従事者にとって心的負担やストレスが高いと推測できる。

もし、私なら仕事を続ける上での士気がダダ下がりである。

もっと恐ろしいのは、長期的に見たとき、医療従事者が「医療資源配分の観点」に慣れてしまうことだ。

 

医療資源配分の観点からの治療の中止・差し控えが日常化してしまえば、助かるかどうか危うい患者を前にしたとき、優先度は低いので次の患者に機器を使い回しするのだから……という諦めの気分が医師の心によぎらないとは限らない。

「医療資源配分の観点」とは患者の切り捨てのことである以上、ときに残酷で非人道的なこともあり、ときには必要悪でもあるかもしれないことであり、机上の哲学的議論にとどまらず人間の生死に直結することであると意識した上で、コロナ禍の緊急事態だけではなく長期的な視点で、考える必要があるだろう。

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