コロナで「医療崩壊」危機…死に直結する「患者切り捨て」をどう考えるか

大阪知事も「病床トリアージ」を表明した
美馬 達哉 プロフィール

医療資源配分の観点は「自己決定権」とは異なる

もう一つ重要なポイントは、医療資源配分の議論と自己決定権の議論を整理して扱い、まぜこぜにしないということだ。

現代の医療倫理や生命倫理では、患者の権利や自己決定権という原則が一番に重視されている。

たとえば、人生の最期をどう迎えるかについては、当然ながら本人の希望や自己決定が重視されるだろう。

政府の推進する「人生会議」は、もしものときのために、自分が望む医療やケアを前もって考え、家族や医療・ケアチームと繰り返し話し合って共有する取組で、「アドバンスト・ケア・プランニング」とも呼ばれている。

 

だが、医療資源配分の観点からの治療差し控え・中止というのは、本人の考えとは無縁に、誰か(有識者委員会のような)が事前に決めた優先順位に従って患者を切り捨てたり助けたりすることを意味している。

アドバンスト・ケア・プランニングとは関係が無いというか、そもそも自己決定権の手前で、医療という土俵にのることができるのはどの患者かを決めるのが医療資源配分問題だ。

残酷で非人道的で道徳的に非難されるべき行為と思う人も多いだろう。

だが、それは早計で、わたしは医療資源配分や優先順位付けは必要なときがあると考えている。

そもそも、ここまで緊迫したものでないものの、「医療資源配分の観点」そのものは日常のなかで普通に存在しているからだ。

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