コロナで「医療崩壊」危機…死に直結する「患者切り捨て」をどう考えるか

大阪知事も「病床トリアージ」を表明した
美馬 達哉 プロフィール

治療の差し控え・中止についての新提言

11月に、日本集中治療医学会は、新型コロナウイルス感染症での重症患者が増大した場合に、人工心肺(ECMO)や人工呼吸器などの医療資源が不足する事態が起きた場合に備えて、「医療資源配分の観点」からの提言を発表した。

ニュースでも取り上げられたので、耳にした方もいるかもしれない(参照「『医療資源不足』に備え新提言 治療中止 差し控えの注意点示す」)。

集中治療医学とは、内科・外科問わず、生命の危機にある重症患者を24時間体制で治療・ケアし、その準備体制を整えるという医学分野である。

コロナ禍での最重症患者に対応する医療従事者らが、コロナ禍での治療のあり方の指針を出したということで、生命倫理・医療倫理に関わる人びとの間で話題になったり、議論されたりしている。

ただ、日本では、医療資源の有益性を最大に発揮するための「医療資源配分」という考え方そのものにあまりなじみが無いため、話がかみ合わないことが多い。

まず確認しなくてはいけないのは、冒頭でシナリオを示したとおり、そもそも「医療資源配分とは患者の切り捨てである」ことだ(*2)

つまり、患者の切り捨ての必要性を肯定した上で、切り捨ての優先順位は、どのようなものであるべきか、どのような手順であれば倫理的に正当化できるかを考えることを、「医療資源配分の観点」と呼ぶわけだ。

 
(*2)G・ボグナーとI・ヒロセ著『誰の健康が優先されるのか―医療資源の倫理学』(岩波書店)でも、この点は何度も強調されている。

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