厚生労働省が今年3月に発表した『不妊治療と仕事の両立ハンドブック』によると、不妊を心配したことがある夫婦の割合は35.0%で夫婦全体の2.9組の1組の割合になる。実際に不妊の検査や治療を受けたことがある(または現在受けている)夫婦は18.2%で、5.5組に1組が、子供ができないことに悩んでいる。

出典:厚生労働省『不妊治療と仕事の両立ハンドブック』

高額な治療費、排卵状況で治療をするため仕事を辞めたという人も多い。そして、何よりも精神的な負担も大きく、次こそはという思いで不妊治療から降りられなくなってしまったという人も少なくない。

そんな不妊治療の末に、『特別養子縁組』を選択した夫婦がいる。選択したいきさつとともに、特別養子縁組で子供を授かるという本当の意味についてレポートしたい。

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駅前で初めての出会い、そこから私たちは親になった

「その日の朝、特別養子縁組のNPO法人『Babyぽけっと』の代表の岡田さんが赤ちゃんを連れて、私たち地元の駅に来るのを夫と待っていました。岡田さんの姿が見えたときに、夫は赤ちゃんの顔も見ていないのに“俺に似ている”と言ったのです(笑)。待ち望んでいた我が子です。もう夢のようでした」

写真はイメージです。photo/iStock

10年もの不妊治療を経て、子供を授かる可能性がないことを知ったOさんご夫婦。それでも子供を持つことを諦めきれず、最初は児童相談所に里親登録をしたものの進展はなく連絡もなかった。さらに調べていく中で『特別養子縁組』に出会った。

「夫も私も子どもが好きで、“親になりたい”という気持ちが強かったのです。その一心でNPO法人の『Babyぽけっと』の面接や研修に何度も参加して特別養子縁組のさまざまなことを理解しました。知らなかったことも多く、すべてを理解してから迎え入れることを決めて登録し、赤ちゃんが私たちのところに来る日を待っていました」

今すぐ赤ちゃんが欲しいと願い登録しても、希望通りになるとは限らない。望まぬ妊娠など、さまざまな事情で特別養子縁組を希望する女性の出産がいつあるかはわからないからだ。数日後のこともあれば、数か月以上も先になることもある。Oさんの場合、2015年4月に代表の岡田さんと面接、研修などを受けた。5月に夫婦の意志やそれぞれの実家の気持ちも確認して登録。7月に男の子がやってきた。現在5歳になったという。