日銀本店前/photo by gettyimages

大ピンチなのに…地方銀行が「業界再編」を完全に「他人事」と捉えるワケ

滲みついて取れない「お殿様気質」

水面下で動いていた「地銀再編」の顛末

導入から4年10カ月が経過したマイナス金利政策の「終わりの始まり」なのか、それとも「深掘りへ向けた布石」なのか――。先に日銀が打ち出した地方銀行や信用金庫の支援策「地域金融強化のための特別当座預金制度」が専門家の間で波紋を広げている。

金融政策への影響や整合性に関して評価が真っ二つに割れているほか、菅総理が地方金融機関の再編を催促する発言をしたことに「日銀が迎合するものだ」と揶揄する意見や、「お殿様意識の強い地方銀行が果敢に動くとは考えにくい」と効果を疑問視する声も噴出、百家争鳴の様相を呈しているのだ。

最近は会見に出る機会も減った黒田東彦日銀総裁
 

地域金融に照準を合わせた日銀の政策がなぜ、これほど専門家の間では注目されるのだろうか。今回はその背景と評価の真贋や意味を考えてみたい。

地方銀行の再編問題が注目されるようになったきっかけは、今年9月3日。自民党総裁選への出馬を表明した菅義偉・官房長官(当時)が記者会見で、「個々の銀行の経営判断」と断わりつつも、「再編も一つの選択肢になる」と言い放ったことだった。

官僚たちの街・霞が関では、地方創生を巡る美辞麗句を並べていた岸田文雄・政調会長(同)や石破茂・元幹事長らとは違い、現下の地方経済で深刻になりつつある潜在的な問題を視野に入れた情報通の菅氏らしい発言と受け止められた。

菅発言の2日後、事態が早くも大きく動くかに見えた。青森県に拠点を置く地方銀行の青森銀行とみちのく銀行が「経営統合を検討」しており、地方銀行の統合に独占禁止法の合併審査を適用しない特例法がスタートすることを睨んで、金融庁や公正取引委員会との調整に入るとの報道があったのだ。

両行が当初から否定コメントを出したものの、官界や金融界では「この合併の仕掛け人は金融庁だ。各官庁を強くグリップしてきた菅長官の総理就任が堅いと踏んで、早速、ごますりに動いたに違いない」(米国系証券会社の渉外担当幹部)といった見方が公然と語られる状況だった。

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