自動車産業へのダメージ
韓国で労働争議が激化している。
労働争議が韓国経済に与える影響は小さくない。
7~9月期、韓国の実質GDP(国内総生産)成長率は、速報値で前期比プラス1.9%だった。
GDPの数字を見る限り、韓国の景気はそれなりに回復しているといえる。
しかし、データが示す以上に韓国経済の実情は厳しいとみるべきだろう。

その理由の一つには、自動車産業における労働争議がある。
足許、世界的に見て韓国の自動車産業の立ち位置は厳しい。それにも拘らず、労働組合は賃上げなどを強硬に求めている。
業績が厳しい中で労働組合が賃上げを要求すれば、企業の体力は低下する。
その一方で、コロナショックを境に、輸出依存度の高い韓国経済にとってのサムスン電子の重要性は、追加的に高まっている。
言い換えれば、韓国経済では、労働組合や一握りの大手財閥企業に経済的な富や生産要素が集中する状況に拍車がかかっている。
長めの目線で考えると、韓国の経済格差は深刻化し、社会と経済全体で閉塞感が高まる可能性は高まっているように見える。