三谷幸喜さんの「笑い」とは

自粛期間が明け、ドラマなど、映像の仕事が再開した。7月からは、徐々にだが、劇場のあかりも灯りはじめた。コロナになるずっと前から、2020年冬は三谷幸喜さんが演出する舞台に出演が決まっていた瀬戸さんは、PARCO劇場で三谷さんの手がける舞台『大地』を鑑賞した。

「『大地』で、久しぶりに役者さんたちが汗とか涙を流しながら演じている姿を見て、『俺も舞台で、あんな風に、夢中なって役を演じたいな』って思いました。特に、『大地』は役者さんたちの話だったので。“演じたいのに演じられないジレンマ”みたいなところが、切実に胸に迫ってきました。あと、今度僕が出演する『23階の笑い』は、原作を書いたニール・サイモンの自伝的な作品と言われているだけあって、エンタテインメントの裏側、のようなものが描かれている。丁々発止のコメディですが、『大地』の、なぜ自分たちは舞台に立つのかと、『23階〜』のなぜ自分たちはコントを作るのかという、作り手の大義に触れる部分は、少し共通しているような気がします」

現在30代前半で、ルックスのみならず演技の面でも認められている若手俳優で、舞台経験のない人はまずいない。瀬戸さんしかり。デビュー後から、河原雅彦さん、前川知大さん、白井晃さん、ケラリーノ・サンドロヴィッチさんら、個性的な演出家とタッグを組み、着実に舞台人としても力をつけてきている。
『23階〜』は、これまでシリアスな舞台にばかり駆り出されてきた彼が挑戦する初のコメディ作品だ。

人を笑わせるのって、お芝居の中で一番難しいんじゃないかとずーっと思っていて。かといって、あまり苦手だとか難しいなとは思いたくはない。舞台は生モノなので、演じ手や作り手が楽しくないと、お客さんにもその空気が伝わらないと思うからです。だから、常にハッピーな気持ちで取り組んでいきたいし、“楽しもう”というテンションを維持していたいな、と思います。

三谷さんのお人柄もあり、今のところ、稽古場の雰囲気はほんわかしています(笑)。僕、三谷さんとは、お会いするのもこの作品が初めてだったんですが、今は、すごく愛のある人なんだなと感じていて。三谷さんの大好きなアメリカの脚本家ニール・サイモンの戯曲を演出することもあって、脚本に対する愛もすごいし、役に対する愛もすごい。もちろん、僕ら演者に対する愛もたくさん感じています。実際に演出を受けてみてはじめて、三谷さんの作品を観たときに、役者がみんな生き生きしている理由がわかりました。作品に関わる全てのものに、あれだけの愛情を注いでいるからこそ、お客さんたちも笑うし、泣くし。感情が震えるのは、つまりそういうことなんだって」

撮影/山本倫子