「おはようございます」で始まるTwitter

瀬戸康史さんのTwitterは、「おはようございます!」という一言から始まる。その後にまた何かを呟く日もあれば、そのSNS上での朝の挨拶だけで終わる日もある。彼のTwitterをフォローしている人は、その一言が、今日という日の“はじまりの合図”になっている人も多いだろう。

2020年11月20日の瀬戸康史さんTweet @koji_seto0518

まだ福岡に住んでいた2005年3月、福岡県西方沖地震を経験した。16歳の高校生だった彼は、大切な人たちと連絡が取れなくなるという恐怖や不安を体験した。その時、多くの人に助けられたこともよく覚えている。

6年後の2011年、東京で俳優として活動する中、東日本大震災を経験した。明日に希望が持てない人に向けて、「表現者として今の自分に何ができるだろう?」と考えた。地震の時に、たくさんの人たちに助けられた。次は自分がなる番だと思った。Twitterというツールに出会い、「今日もちゃんと朝を迎えられた喜びを感じてほしい」「希望のある1日にしたいし、してほしい」という思いを込めて、「おはようございます!」と呟くことにしたという。たった一言だけれど、毎日、毎日。その透明な善意は、コロナ禍に喘ぐ人々にも、ほんの小さな、でも大切な希望をくれる。

5月に、シアターコクーンで上演されるはずだった舞台『母を逃がす』が中止になった。本当なら、この公演中に、瀬戸さんは32歳の誕生日を迎えるはずだった。

「とても残念でしたが、こればっかりは、“しょうがないな”という感じでした。僕らだけじゃなく、世界中のエンタメがストップした時期だったので……。2月の末に、倉科カナさん主演の『お勢、断行』という舞台のゲネプロ(※通し稽古)を観に行ったんですが、それは、ずっと稽古をしてきたのに、直前で中止が決まってしまった舞台でした。カーテンコールの後で、倉科さんが泣いている姿を見て、『悔しいだろうな』って思った。『母を逃がす』は、21年前に大人計画で上演された作品でしたし、まだ稽古には入っていなかったので、ダメージは少なかったほうだと思います。もちろん、『やりたかったな』と、処理しきれない無念、モヤモヤみたいなのはありました。けど、どうにもできないし、受け入れるしかなかった」

撮影/山本倫子
瀬戸康史 Koji Seto
1988年5月18日生まれ。福岡県出身。2005年俳優デビュー。映像や舞台などで幅広く活躍中。最近の主な出演作に、NHK連続テレビ小説『あさが来た』『まんぷく』、民放ドラマ『海月姫』『デジタル・タトゥー』『私の家政夫ナギサさん』、NHKドラマ『透明なゆりかご』映画『ミックス。』『寝ても覚めても』『事故物件 恐い間取り』、舞台『関数ドミノ』『ドクター・ホフマンのサナトリウム ~カフカ第4の長編~』などがある。現在、フジテレビ木10『ルパンの娘』に出演中。