インターネット時代における「同人誌イベント」の役割とは〜作家・pha(ファ)×文学フリマ代表・望月倫彦

pha, 望月倫彦 プロフィール

pha:きっと、そこから面白い作品がどんどん生まれていくんでしょうね。文フリって、あの祭り感がいいんですよね。あの雰囲気に高揚して、読むかわからないものまで全部買ってしまう。

望月:イベントの一期一会感もありますよね。いまはネット通販なども普及しているけど、それでも文学フリマにはネットが使えないからって郵便で応募してくる方が今でもいます。ごく少数ですが。そうすると、文学フリマを逃したら彼らの作品はもう読めなくなってしまう。

左の2冊は文学フリマで販売していた『夜のこと』
 

pha:売る側としての充実感もあるんですよね。たとえばネットだったら記事を書けばすぐに何万人に読まれるけど、文フリはめっちゃ売れても200部とか300部。でも文フリの方が、興味がある人がちゃんと読んでくれるという実感がある

望月:わざわざ文フリまで来て買っているわけですからね。それにきっと、買う側の視点からすると、世の中に数百しか存在しないものを買っているという面白さや楽しさがあるんですよね。そういう希少なものを自分のお金を出して買っている時点で、その本を適当には扱わないし、一回ちゃんと読もうという気分になる。

文フリとギークハウスは似ている?

望月:小説のお話に戻ると、「住」と「性」は切り離しておくべきだろう、という話がすごく面白かったんですよね。これはシェアハウスをやっていなかったら出てこない言葉だろうと思いました。だって、一般的には住と性は密接に結びついているじゃないですか。たとえば実家暮らしの男が一人暮らしをしたいと言い始めたときは、だいたい恋人ができてホテルに行かずにセックスをしたいからで。

pha:その感覚は、たしかにシェアハウスをやっていく中でずっと考えてきたことでしたね。恋愛、セックス、交際、結婚、それらは普通すべてひとまとまりのものとして考えられているけれど、それぞれ切り離した方がいいんじゃないかというのはずっと思っていて。そんな違和感が執筆のモチベーションのひとつでした。

望月:たしかに、その方がいいことってあるかもしれないですよね。たとえば結婚が目的で恋愛が目的ではないお見合い結婚の例もある。必ずしも恋愛しないとダメだってわけでもないし、結婚すれば幸せなのかといったら、そうとも限らない。

pha:そういう価値観があったからこそシェアハウスを始めたところはありますね。そうじゃなければ、普通に好きな女の子と付き合って一緒に暮らして仕事を頑張っていたかもしれない。

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