より豊かな社会を目指して、各地でさまざまなアクションが行われています。日本の自然風土に根付いた持続可能な暮らしから、ごみや資源を有効利用する取り組み、生きづらさを抱える人に寄り添う活動まで、日本全国の取り組みをご紹介。今回は、モノにまつわる取り組みを紹介します。

aomori wool
青森県産羊毛の会/青森県

羊毛の地産地消を目指す、青森の女性たち

青森県で育つサフォーク種。初心者でも紡ぎやすい良質な毛。

青森育ちの羊の毛を自ら紡いで糸にし、ホームスパンや編み物、フェルト作品を通してその魅力を伝える〈aomori wool〉。メンバーは青森市に暮らす女性6人で、羊の毛刈りを手伝うところから自分たちで行うというから驚きだ。

糸紡ぎ車を使い、手作業で紡ぐ。

もともと輸入の羊毛を使って織物の技術指導や作品作りを行っていたメンバーの中川麻子さんと大村知子さん。あるとき県内でも羊が飼育されていることを知る。が、そのほとんどは肉食用。羊毛は廃棄されていると聞き、〈aomori wool〉を結成した。

フェルトを使った作品展示。ショールやセーターも人気。
羊毛は草木染めにすることも。facebook.com/aomoriwool

作品の発表や販売のほか、羊毛や毛糸の販売も行う。そこには「捨てられていた羊毛をたくさんの人に使ってもらいたい」という思いがある。年に数度、糸紡ぎの講習会やワークショップを開催するなど、糸紡ぎの普及も積極的に行う。国内では例を見ない「羊毛の地産地消」が大きな目標だ。

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VALUE BOOKS
バリューブックス/長野県

お金にならない本もなるべく捨てずに、次の読み手に

子どもたちに1冊ずつ選んでもらったり、無書店地域にバスで本を届けたり。

本が無駄にならない買い取りサービスだが、結果的に中古市場に出ないものも多い。ネットを中心に買い取り販売をする〈バリューブックス〉でも、毎日2万冊近く届く本の半分は値段が付かず、古紙リサイクルに回される。

メインの倉庫だけで約70万冊もの本が。

書き込みや破れが酷いもの以外に、書籍コードがなかったり、需要と供給のバランスが崩れたベストセラーなど、新品同様でも理由があって買い取れないものはたくさんある。それらを「なるべく本を本のまま生かしたい」と、取締役の中村和義さんが力を入れるのが「捨てたくない本」プロジェクト。

子どもたちに1冊ずつ選んでもらったり、無書店地域にバスで本を届けたり。

買い取りできず無料で引き受けた本を、学童保育や老人ホームなど身近な場所に届けるところから始まり、ブックバスを活用して小学校や被災地などを訪れたり、それらを格安で販売する書店を開いたり、廃棄されてしまう本を減らす活動を行う。近年では、問題の根源である大量生産大量消費について考え、長く読み継がれる本を作る出版社に古本の売り上げの33%を還元する取り組みも。

「捨てたくない本」を格安で販売する実店舗〈Valuebooks Lab.〉。実店舗は上田市に2店。〈無印良品〉の一部店舗でも「捨てたくない本」プロジェクトの本を販売中。買い取りはウェブから。valuebooks.jp

「利益度外視でなく、ビジネスをきちんと持続可能にしながら社会にいいことをやっていく。ここに送れば、有意義に使ってもらえるのかなと思ってもらえたら」と中村さん。ブックロスの問題と向き合うプロジェクトに注目したい。