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コロナ後のバリ島バカンスで「ビールが飲めなくなる」可能性

インドネシア国会が「禁酒法」を審議中

イスラム政党など3党が禁酒法案提出

インドネシア国会が11月11日、イスラム政党など3党が提出した「禁酒法案」の審議を開始した。

全てのアルコール類の国内販売、購入そして飲酒を禁止するというのがこの「禁酒法案」の内容で、世俗政党をはじめとする関係各方面から一斉に「冗談じゃない」と反発の声があがっている。

法案を提出した政党は「飲酒者から国民を守り、安全で平穏な社会を創出するのがこの法案の目的である」として、飲酒に関わる各種問題を解決して国民と社会の安全を確保するという「もっともらしい」目的を強調している。

この「禁酒法案」の審議開始に対して、世界的な観光地であるバリ島からは早速、「バリのビーチでビールが飲めなくなれば世界から観光客が来なくなるのは間違いない」と猛烈な反対論が起きている。

 
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また、「聖体拝領」という公の宗教行事で赤ワインを口にするカトリック教徒の間からも、「宗教の自由に反するとんでもない法案である」と怒りの声が沸き起こっている。

さらにイスラム教徒の議員が多数所属する与党の世俗政党などからも、「現在、飲酒がインドネシア社会に深刻な影響を与えているわけでもないのに、それを全面的に禁止するのは、アルコール類の摂取を宗教的禁忌とするイスラム教の価値観の押し付けにほかならない」との反対論も噴出しており、同法案が国会で可決される可能性は現段階では少ないとみられている。

しかし国民の圧倒的多数を占めるイスラム教徒の主張、さらにイスラム教徒に対する「忖度」が横行する傾向が強まっているインドネシアだけに、今後の審議の行方に大きな関心と注目が集まっている。

インドネシア主要メディアの報道によると、イスラム政党である「開発統一党(PPP)」と「福祉正義党(PKS)」に加え、最大野党から与党に転じた「グリンドラ党」の3党が共同で「禁酒法案」を提出した。

3党は法案説明の中でインドネシアに「禁酒」が必要なのは、

1)1945年憲法や国民の指針ともいうべき統一、民主主義、社会的公正などからなる「建国5原則(パンチャシラ)」の精神に反するという哲学的必要性
2)アルコールによる多くの人の死、犯罪の発生、暴力事案などという社会的視点
3)アルコールが関係した犯罪に対する不十分な刑法の規定という現在の法制面での問題
4)1〜3を総合した法治国家の社会秩序という立場にのっとった禁酒の必要性

が提案の趣旨であると説明している。