2020.12.13
# 認知症

40年かかわってきた医師の結論「認知症は水を飲めば治る!」

たった1%の水欠乏が意識障害を起こす
竹内 孝仁 プロフィール

一日わずか620ccの飲水量で起きたこと

元大工のSさんは、入所の8年前に妻を亡くし、それ以来ずっと1人で暮らしていた。その後もゲートボールや地域行事の役員を引き受けるなど、積極的に外出していたが、3年前から膝に痛みを感じるようになり、引きこもりがちになった。その頃よりデイサービスなどを利用していたが、徐々に会話が成り立たなくなり、亡くなった妻を探して近所を歩き回るようになったという。

 

入所の春、心臓疾患で入院したのをきっかけに、夜間せん妄や徘徊が始まり、そのまま老人ホームへの入居が決まった。しかし、そこで放尿や無断外出などを繰り返したため、利用を断られてしまったのだ。

Sさんの入居に備え、ケアマネージャーと職員、医療スタッフを交えたアセスメントが行われた。アセスメントとは、利用者の情報を集め、分析し、どのような援助をすればいいかを導き出すことである。

その結果わかったのは、Sさんの一日の飲水量が、620cc極端に少ないことだった。放尿癖があるため、前の施設の職員が水分を控えさせていたのだ。にもかかわらず、Sさんは徘徊などで一日中動き回っている。少ない水分が、運動によってさらに発散し、Sさんが脱水症状を起こしていることは明らかだった。スタッフは水分摂取の目標を一日1500ccし、毎日の散歩と週3回のパワーリハビリによって運動量を確保することにした。

水分を増やすと、「本来の姿」に戻った 

Sさんの認知症は、入院と老人ホームへの入居という環境の変化によって始まった可能性が高い。放尿や徘徊などの問題行動は、水不足による体の不調と、環境不適応が原因と思われる。職員は、Sさんの排尿パターンを把握し、トイレに誘導することで、放尿なのか、ただ単にトイレの場所がわからないだけなのかを見極めることにした。トイレの扉には、わかりやすいように「便所」と貼り紙をしておく。

関連記事

ABJ mark

ABJマークは、この電子書店・電子書籍配信サービスが、著作権者からコンテンツ使用許諾を得た正規版配信サービスであることを示す登録商標 (登録番号 第6091713号) です。 ABJマークについて、詳しくはこちらを御覧ください。https://aebs.or.jp/