2020.12.13
# 認知症

40年かかわってきた医師の結論「認知症は水を飲めば治る!」

たった1%の水欠乏が意識障害を起こす
竹内 孝仁 プロフィール

以前千葉県で、介護職などを中心に老人ケアの研究会を開いたことがある。そこで私の行った脱水症の講義に触発され、ある特別養護老人ホームが「脱水追放作戦」を実行した。50名の利用者のうち20名に昼間の微熱、9名に夜間のせん妄(意識障害により幻覚の見える状態)があったが、一日1500cc水分補給をきちんと行ったところ、微熱はゼロ、せん妄は1名に減った。

 

せん妄や不眠など、夜に活発になる症状の原因は、ほとんど脱水によるものだ。こういう場合、医者は、統合失調症のような精神疾患と同じく、抗精神薬を処方する。しかしそうすると、かえって活動性が落ち、自力で水を飲めなくなってしまう。必要なのは、薬ではなく、「水」なのである。

異常行動には必ず理由がある  

数年前、Sさんは老人ホームに転居してきた。Sさんは問題行動が多く、他の利用者に迷惑がかかると言われて、前の施設を追い出されてしまったのだ。Sさんには、所構かまわずおしっこをする放尿癖があった。廊下の隅や部屋の中、洗濯室などでいきなりジャーッとやってしまうのである。職員が注意しても、悪びれる様子もなく、逆に怒鳴り返されてしまう。前の施設は、Sさんを行儀が悪い人、乱暴な人と決め付け、「問題老人」として入居を断った。

前の施設の職員は、Sさんにきちんと向き合うことなく、「困った人」「不潔な人」としてさじを投げてしまったのである。介護のプロとして、これは恥ずべきことだ。問題行動の原因を探りもせず、「この人は認知症だから何を言っても無駄だ」と、Sさんを突き放したのだ。

認知症患者の異常行動には、必ず理由がある。それを見つけるための一番の方法は、患者の身になって考えることである。私は介護に最も必要なものは、「共感力」だと思う。患者と「共にある」ことが、ケアワーカーの第一条件なのである。

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