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これは何かの冗談ですか? たった「2時間半」で命にかかわる重要法案が通ってしまう「この国の現実」

「生殖補助医療法案」可決に思うこと

なぜ急ぐ必要があるのか

「今回の法案審議にあたっては、本当に様々な意見がありました。これを踏まえて確認させていただきたいことがあります。それは、なぜいまこの法案の内容で法律の成立を急ぐ必要があるのかということです。本来であれば、生殖補助医療や生命倫理の問題はしっかりと議論されるべきであり、それらについての結論を得て、その後、法制化をすべきではないかという問いかけもあります。それからまた、現在、法制審議会で親子法制の見直しについて議論されていますけれども、その結論を待たずに民法に特例を設ける必要は何か。これについてお答えいただきたいと思います」

11月19日の参議院法務委員会で、質問に立った立憲民主党の真山勇一議員はこのように切り出した。

その3日前の11月16日、自民、公明、立憲民主、維新、国民民主の与野党5党は、夫婦以外の卵子や精子を用いた生殖補助医療で生まれた子供の親子関係を明らかにする民法特例法を参議院に共同提出したばかり。同法案は19日の法務委員会で2時間半かけて審議され、すぐさま賛成多数で可決された。

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近年の生殖医療の発展は著しい。

1978年には世界初の体外受精児であるルイーズ・ブラウンが誕生し、1992年には顕微鏡による細胞質内精子注入法による最初の赤ちゃんが誕生した。そして今や16人に1人が生殖補助医療によって誕生している時代になっている。

菅義偉首相も不妊治療の保険適用を提唱するなど、子供をほしがる人にとってチャンスが広がりつつある。

その反面、身分法である現行民法は明治時代につくられたため、生殖補助医療による出生を想定しておらず、第三者の精子や卵子の提供を受けた不妊治療で誕生した子供の法的身分についての規定がない。