「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」第4次評価報告について米国下院で開かれた公聴会(2007年)Photo by gettyimages
2020.12.03

「温暖化なんて嘘」気候変動に対する危機感で日本は欧米と大きなズレ

今度こそ日本にESG思考は根付くか2

菅首相が10月26日、自身初の国会所信表明演説の柱の一つに「2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、脱炭素社会の実現を目指す」と「宣言」したことは、驚きをもって迎えられた。すでにカーボンニュートラル社会に舵を切っている欧州各国の首脳たちからも歓迎コメントが出た。しかし世界はずっと先に行っている。温暖化対策への取り組みがすぐれる企業へマネーを配分するESG(環境・社会・企業統治)投資は、いまや世界の機関投資家のあいだでは当たり前だ。もともと地球温暖化の認識に対して世界各国と日本政府のあいだには大きな溝があり、日本はようやく追いついたと言える。
バイデン米国新政権の誕生で、ますます世界は脱炭素社会へ加速するだろう。首相のカーボンニュートラル宣言を、産業界はどのように個々の中長期計画に組み込んでいくのだろうか。ESGに詳しい夫馬賢治氏の著書『ESG思考』から、脱炭素社会の新しい経済に移行するために、いま私たちが知っておくべき必須の基本事項をご紹介する。今回はその第二回目だ。

すでに9年前に気候変動は最も高いリスクに

気候変動の話題は、今でこそ日本でも耳にすることが増えた。気候変動によって、将来、「台風が巨大化する」「豪雨による洪水被害が増える」「熱波で森林火災が激しくなる」「猛暑で健康被害が出る」などといった具体的な懸念も指摘されるようになった。

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しかし、2011年のダボス会議で発表されたグローバルリスク報告書では、すでに気候変動が最も高いリスクとして認識されていた。東日本大震災のタイミングで、気候変動がグローバル企業の経営陣や機関投資家にここまで強く認識されていたことに驚いた方もいるかもしれない。だが欧米の経済界では、2010年頃からすでに気候変動が経済と社会に大きな被害をもたらしていくことが見通されていた。

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