2020.12.02

日本人が知らない、居心地よさだけでないスターバックス本当の先進性

今度こそ日本にESG思考は根付くか1
夫馬 賢治 プロフィール

環境を考慮したら利益が増えるなんて怪しい=「陰謀論」

他方、「環境・社会への影響を考慮すると利益が増える」という立場なのにもかかわらず、「環境・社会への影響を考慮すべきではない」と考える人もいる。彼らは、「環境・社会への影響を考慮すると利益が増える」などというきれいごとの裏にはきっと何か壮大な陰謀があるのだろうと斜に構えてものごとを捉える。その結果、我々は彼らの誘導に乗るべきではなく、あえて「環境・社会への影響を考慮すべきではない」と主張している。

この「陰謀論」にはいろいろな流派がある。たとえば、欧米の帝国主義を敵視する人もいれば、一部の欧米富裕層資本家を敵視する人もいる。では、敵視されている欧米では陰謀論はないのかというと、もちろんある。たとえばアメリカの言論界では、「アンチ・アジェンダ21」という名前の国連陰謀論が2010年頃から頻繁に登場するようになる。国連陰謀論は、国連は環境や社会について危機を煽り大国アメリカの自由を奪おうとしているが、実際にはそんな危機はなく、国連の陰謀だ、というものだ。最近では中国が陰で世界を支配していると考える人もいる。

 

陰謀論は、概して金融やビジネスの世界よりも、一部のジャーナリズムや政治団体、宗教団体の中で主張されることが多い。陰謀論的な思想は、すんなり理解できるタイプの人と、そうでないタイプの人がいて、両者の間ではなかなか会話が成り立ちにくい。陰謀論は「影の陰謀」を主張するので、存在を証明することも否定することも難しく、水かけ論になってしまいがちだ。

オールド資本主義、脱資本主義、ニュー資本主義、陰謀論。この4つの立場は、過去20年間でダイナミックに変化を遂げてきた。最も大きな変化は、経営や金融の主流にいた勢力が、オールド資本主義からニュー資本主義へと立場を転身させたことにある。この転身をもたらした新しい考え方を、私は「ESG思考」と名付けた。冒頭で紹介したスターバックスの経営も、2001年の時点ですでにニュー資本主義の立場を採っていたのだが、グローバル企業や大手の機関投資家は、おおよそ2010年から2020年の間に、ESG思考を強めていったのだ。

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