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2020.12.02

日本人が知らない、居心地よさだけでないスターバックス本当の先進性

今度こそ日本にESG思考は根付くか1
菅首相が10月26日、自身初の国会所信表明演説の柱の一つに「2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、脱炭素社会の実現を目指す」と「宣言」したことは、驚きをもって迎えられた。すでにカーボンニュートラル社会に舵を切っている欧州各国の首脳たちからも歓迎コメントが出た。しかし世界はずっと先に行っている。温暖化対策への取り組みがすぐれる企業へマネーを配分するESG(環境・社会・企業統治)投資は、いまや世界の機関投資家のあいだでは当たり前だ。もともと地球温暖化の認識に対して世界各国と日本政府のあいだには大きな溝があり、日本はようやく追いついたと言える。
バイデン米国新政権の誕生で、ますます世界は脱炭素社会へ加速するだろう。首相のカーボンニュートラル宣言を、産業界はどのように個々の中長期計画に組み込んでいくのだろうか。ESGに詳しい夫馬賢治氏の著書『ESG思考』から、脱炭素社会の新しい経済に移行するために、いま私たちが知っておくべき必須の基本事項をご紹介する。今回はその第一回目だ。

なぜプラスチックストローをやめる?

コーヒーチェーンで日本でも有名なスターバックス。今や世界約80の国と地域で3万店舗以上を運営するほどのグローバル企業だ。店舗でコーヒーを販売するために1年間で調達しているコーヒー豆の量は約30万トン。コーヒーは1杯当たり10グラムの豆を使っていると言われているので、この割合で換算すると1年間で300億杯を提供していることになる。

このスターバックスが、2018年7月に「世界中の店舗で使い捨てプラスチックストローを2020年までに廃止する」と発表したことが大きな話題を呼んだ。スターバックスの使い捨てプラスチックストローの年間使用数は推計10億本。このときの発表では、世界では毎年800万トンのプラスチックが海に流れ込み、それが生態系に悪影響を与えているという海洋プラスチック汚染の問題を提起し、業界の一企業としてこの問題を傍観しているわけにはいかないと、使い捨てプラスチックストローを廃止する理由を説明した。

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使い捨てプラスチックストローの廃止という衝撃的な発表に対し、私の周辺でも賛否両論が聞かれた。賛成派は、海洋プラスチック汚染問題にグローバル企業が関心を寄せ、廃止を決めたことを大歓迎していた。一方反対派からは、ストローばかりを問題視しても意味がないといった意見や、ストローを必要としている人もいるので一方的な廃止はむしろ社会にとってマイナスだという意見も出た。ちなみにこの日の発表でもスターバックスは、必要な人にはストローを提供すると表明しているのだが、いずれにしても、賛成派にとっても反対派にとっても、企業が何やら最近、環境問題に関心を寄せ始めていることを感じさせるニュースとなった。

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