嫁姑問題は宝くじのようなもので、当たり外れが非常に激しい。
「姑とは大の仲良しで、よく一緒にお買い物に行きます♪」という嫁もいれば、「あべのハルカスから打ち上げたい」という嫁もいる。大阪に暮らす3人の子供を持つ主婦のばたこさんは後者だ。
「デリカシーは川に流した」と豪語する奇天烈な義母を持つばたこさんの初めての出産時に張り切りすぎた義母の話を、著書『お義母さん、ちょっと黙ってください:くそばばあと私の泥仕合な日々』から抜粋して特別掲載する。
妊娠しているときも、出産直前も私はずっと不安だった。常に意味の分からない不安感に包まれていた。特に第一子出産時はその不安感が強かったように思う。
そんな不安をかかえたまま、予定日の3週間前の深夜に破水。こんなに水が出て赤ちゃんは苦しくないかな、どうしよう、どうしよう、泣きたいけれど泣いている暇はない。旦那は仕事で家にいない。事前に登録していた市のマタニティタクシーに電話する。マタニティタクシーは電話で予約しておくと優先的にタクシーを手配してくれて、玄関まで運転手が迎えにきてくれ、病院まで運んでくれるサービスだ。破水したとき用にシートも敷いてくれているし、支払いも後でよいという手厚いサービス。ありがたい。
ところが。
「♪〜」
タクシー会社から電話が鳴った。もう着いたのかと思い、電話を取った。
「すいません、ちょっと道に迷ってしまいました、ちょっと出てきてもらってもいいですか」
おいおいおい、話が全然違う。私にはタクシー運転手を探すような気力はない。まだ破水も続いている。
「はいはいはいはい、おじゃまむしおじゃまむしするで、ちょうどあんたの様子みにくる予定やったんやけど太郎から破水したって電話きてマッハで自転車漕いできたったで周りの人ら私のこと風かと思ったんちゃうかガハハハあ〜おもろ」
めちゃくちゃに喋りながらタクシー運転手より義母が先に到着した。
「なんやタクシーの人まだ来てないんか! 私が探してくるわ、あんたはそこでまっとき! 運転手なんてすぐ捕まえてくるわ、なんたって今日の私は風ガハハハ」
義母はタクシーの運転手を探しに飛び出していった。