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中国はわずか14年で夫婦喧嘩殺人を衆人で傍観する社会に変貌した

ここまで浸透、「触らぬ神に祟りなし」

中国中がさすがに情けないと思った事件

山西省の西北部に位置する朔州市(さくしゅうし)は、面積1万625平方キロメートル、人口176万人の地方都市である。朔州市は石炭を主とする鉱物資源が豊富で、中国有数の規模を誇る平朔炭鉱の所在地として知られているが、石炭依存の産業構造は旧態依然で、これと言った観光資源もないので、活気のないありふれた田舎の都市である。

ちなみに、朔州市の面積は日本で第7位の面積を有する岐阜県(1万621平方メートル)とほぼ同じであり、176万人の人口は岐阜県の198万人と大差ない。

その朔州市で2020年10月31日の白昼に、人通りが多い往来で夫が妻をレンガ片で殴り殺すという残忍な殺人事件が発生した。この事件を朔州市公安局朔城分局はSNSを通じて次のような「警情通報(緊急事態通報)」を発信した。

【警情通報】
2020年10月31日9時50分頃、朔城区雁門街で殺人事件が発生し、女性1名が死亡した。現在、犯罪の容疑者はすでに公安機関の支配下にあり、事件は全力で調査中である。
                         朔州市公安局朔城分局 

「警情通報」が報じた様に、事件は10月31日の午前9時50分頃に朔州市の中心部である朔城区の南部に位置する大通り「雁門街」で発生した。

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これより少し前、60歳前後の夫が電動スクーターの後部座席に妻を乗せて自宅を出発した。夫のスクーターがどこへ向かおうとしていたかは不明だが、スクーターが雁門街に差し掛かった時、夫は不注意で横を走行していた自動車に接触する事故を起こした。接触事故を引き起こしたことであせった夫は、一度はスクーターを停止させたが、軽微な接触であるとを見て取ると、スクーターを再始動させて現場から逃走しようとした。

夫が現場から逃走しようとするのを引き留めたのは後部座席に座っていた妻だった。妻は夫に対して「あんたのスクーターが他人の車に接触する事故を起こしたのだから、さっさと交通警察へ連絡して事故処理をしてもらうべきでしょう。あんたはどうして逃げようとするのよ」と言うとスクーターから下り、夫が逃げないようにスクーターを押さえた。

 

これを見た夫はスクーターから降りて車道脇にスクーターを止めると、スクーターを押さえていた妻の胸倉をつかみ、「何でお前は俺の邪魔をするんだ」と怒鳴りつけた。