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リベラルは「価値観の押し付け」「上から目線」なのか? この思想の「意外な本質」

「リベラルな徳」とな何か

今リベラルに何が起こっているのか?

長期にわたる安倍政権が終わりを告げ、新たな政権が誕生した。野党も次の総選挙を見越して、旧民主党の解党以来、ようやく再結集することとなった。今後の政策論争に期待がかかる。海の向こうに目を転じると、例えばアメリカでは、今年はちょうど4年に1度の大統領を選ぶ年に当たっており、激しい論争が繰り広げられた。

ただ、ここで気づくのは、こうした政治の議論の枠組みが必ずしも従来の「リベラル 対 保守」の構図になっていない点である。いや、これは日本やアメリカだけに限った話ではない。ヨーロッパ諸国やその他の国々においても、実は同様の現象が起こっている。

つまり20世紀に確立された「リベラル 対 保守」というおなじみの政治対立の構造が、21世紀、とりわけこの数年の間に見事に崩れ去り、いまやまったく異なる対立の様相を呈しているのである。いうまでもなくそれは、「既存の政治 対 それに対する不満」という構図である。

世界中でポピュリズムと呼ばれる政治の潮流が猛威を奮っているが、その実態は、まずもって既存のリベラルな政治――その内実については後述する――に対するアンチテーゼにほかならない。しかし一方でそれは、従来の保守ともまったく性質を異にする、むしろ保守さえをも否定するような新たな政治的主張なのである。

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ポピュリズムというのは、大衆迎合とも訳されるように、右や左を表す言葉ではなく、その都度の大衆の欲求に応じようとする政治、あるいはその欲求に乗じて権力をものにしようとする政治である。だからこそそれは時に極右を意味したり、反対に極左を意味したりもする。こうした思想は時にポピュリズムと呼ばれたり、時に権威主義と呼ばれたりするが、いずれにしても非リベラルであることは間違いない。

いずれにしても、従来の主流の政治に不満を感じている人たちが、リベラルに歯向かい、それが時に暴発することでヘイトスピーチやテロのような問題が生じているというのが現代の問題状況だといっていいだろう。