絶好調のソニー、最新映画に見る「小説×音楽×映像」のスゴい戦略

monogatary×YOASOBI×??

アニメ版『鬼滅の刃』やゲーム『Fate/Grand Order』(FGO)の成功、700万台以上というPS5の初期出荷数などによって、ソニーはソフト(サブカル)に強い、というイメージがビジネスメディア上も定着した。最近では北米発のアニメ配信サービスCrunchrollの買収交渉についての報道もあり、さらなる拡張が予想される。

そんなソニー傘下のソニー・ミュージックエンタテインメント(SME)が運営する小説投稿サイトmonogatary.comに掲載された短編小説を原作とした映画『たぶん』が2020年11月13日に公開された。

この原作は本年J-POPシーンを駆け上ったトラックメイカーAyaseとボーカリストIkuraによる“小説を音楽化するプロジェクト”YOASOBIの同名曲の原作でもある。「たぶん」が収録された双葉社刊のYOASOBI楽曲の原作小説集『夜に駆ける』は5万部を突破。初版2〜3000部もざらな文芸業界では相当に売れている部類に入る。

映画『たぶん』はソニーグループが小説と音楽と映像(映画)の相乗効果を狙った企画の一角を担ったものである。

ただし映画『たぶん』の尺は50分で、公開館数も少ない。今後のためのテストマーケティング的作品という印象は否めないが、ソニーグループの2010年代の(ネット発の)小説と音楽、そしてTVアニメや映画の連動について振り返りながら、今回の『たぶん』から見えたビジネス上の課題を整理してみたい。

 

カゲロウプロジェクトの狂騒と収束

小説と音楽を連動させたこの10年の試みと言えば2010年の悪ノP_mothy『悪ノ娘』以来のボカロ小説(ボーカロイド楽曲を原作とした小説)ブームがある。

なかでも商業的に最大の成功を収めたのが、じんのカゲロウプロジェクト(カゲプロ)とHoneyWorks(ハニワ)の『告白予行練習』だ。

この2つの作品にはSMEとアニプレックス(ソニー傘下のアニメ・ゲーム製作会社)が絡んでいる。

とすると、今回のmonogatary×YOASOBI×映画『たぶん』はこの2つの経験を踏まえて展開していると考えられる。したがってカゲプロとハニワがどんなものだったかを紹介し、今回の試みとの差異を見ていこう。