画像はイメージです Photo by showcake/iStock

古代日本の究極の甘味料「あまづら」はどんな味? 幻のスイーツを科学で再現!

研究を支援して幻の味を体験しよう!
清少納言が「あてなるもの(上品で雅なもの)」のひとつとして書いた、日本古代の甘味料「甘葛(あまづら)」をご存じでしょうか。

宮中や大臣の主宰する正月の宴席で食された貴重な甘味料ですが、その詳しい材料などは現在に伝わっておらず、幻の甘味料となっています。しかし、もうすぐこの甘葛を味わうことができるようになるかもしれません。

立命館大学の神松幸弘先生の立ち上げたクラウドファンディング「甘葛を復元し『枕草子』『今昔物語集』に登場した究極古代スイーツを作る!」をご紹介します。

『枕草子』に書かれた「かき氷」

私たちは古代日本の甘味、甘葛(あまづら)の正体を探る研究をしています。みなさんは甘葛をご存知でしょうか。奈良時代や平安時代は、砂糖はたいへんな貴重品で、調味料やお菓子の原料にすることはできませんでした。代わりに使われた甘味料、その一つが甘葛でした。

甘葛は貴重品で、極めて限られた人々の嗜好品であったようです。たとえば、真夏に氷室から運ばれた氷をかき氷にして、甘葛をかけて食べることがあったようです。清少納言は『枕草子』の中で、「あてなるもの(中略)削り氷に甘葛入れて新しき鋺に入れたる」とかき氷を食した貴重な経験を記しています。

清少納言著『枕草子』四十七段「あてなるもの」(写本)国文学研究資料館所蔵 本文一行目の後半から「削りひにあまづら入れて新しきかなまり(碗)に入れたる」と書かれている。

また甘葛を用いて作る「芋粥」は宮中や大臣の主宰する正月の宴席で欠かせない究極のデザートでした。しかし、甘葛は、貴族の凋落とともに消失し、江戸時代には完全に幻となってしまいました。

江戸時代の学者たちは、競って古代の甘葛の正体を明らかにしようとしました。大本草学者であった小野蘭山やその弟子たちは、「甘かずら」という野生のブドウが原料であるという説を唱えました。

また、紀州藩の藩医だった畔田翠山は、甘葛はツタの樹液であると著書『古名録』に記しています。他にも阿波国の藤原清香が、野生ブドウの熟した実を煮詰めて甘葛を作成し『甘葛考』という書物を書き残しています。

藤原清香(七条文堂)著『甘葛考』国立国会図書館所蔵(写本)清香が甘葛の原料と考えた野生ブドウのスケッチが描かれている。

関連記事