Photo 森 清

池上彰「人生に必要な“読解力”を『聞く』と『伝える』で鍛える」

社会に出るあなたに伝えたい なぜ、読解力が必要なのか?(3)
「日本人の読解力が急落」――2019年のそのニュースは各新聞を賑わせ、日本中に大きな衝撃を与えた。では、そもそも“読解力”とは何を指すのか、人生においてどう位置づけられるのか…。
たとえば、「場違いな発言や行動をしてしまう人がいるけれど、いったいどうして?」「仕事がうまくいく人といかない人の違いは何?」「すぐ人と打ち解けられる人はどこが違うの?」などなど……その答えが「読解力」。
池上先生が、人生でいちばん身につけたい生きる力=「読解力」のつけ方を伝授。社会に出たらこの力こそ最大の武器です。

講談社+α新書『なぜ、読解力が必要なのか?』から注目の章を3日連続でピックアップ!

「聞く力」を上げる質問のコツ

他者とのコミュニケーションの「場」を読み解く力を鍛えるために、「聞く力」と「伝える力」を鍛えていきましょう。

※画像はイメージです。Photo by iStock

私の場合、NHKで「週刊こどもニュース」に11年間携わり、毎週生放送で小学生や中学生にものごとを説明してきた経験が、「聞く力」と「伝える力」を鍛えるのに役立ったと思います。相手が何を言いたいのか、質問の意味はどういうことで、本当に知りたいことは何だろうかと思案したり、あるいはこういう伝え方でわかるだろうかと試行錯誤したりしてきた経験です。

第一に大切なのは、「相手が何を言いたいのか」を常に考えながら聞くということです。相手がよほどプロの伝え手でもなければ、会話においては普通、言葉足らずな言い方をしているに違いないのです。

ちょっと言葉足らずな説明や報告を受けたときに、「たぶんこういう意味だろうな」と自己完結してその場を流してしまうのではなく、「それってどういうことなの?」「何か説明が抜けているんじゃないの?」などといち早く察知し、聞き返す習慣をつけましょう。ポイントを突いた「いい質問」ができるようになれば、読解力が身につきます。

日本人は引っ込み思案というか遠慮するというのか、みんなの前であまり質問をしません。それではダメです。わからないところをわからないで済ませないで、「何がわからないのか」を常に考えて質問することが大事です。

ただ上司に関しては、その上司に人間的な包容力があるかないかで対処法が変わります。包容力がある上司なら、何を質問しても答えてくれます。しかし包容力のない上司なら、大人数の会議の場などで「部長、それはどういうことですか?」などと質問をすると、「お前はそんなこともわからないのか」とけなしてきたり、さらにひどい場合には「お前は俺に恥をかかせて、逆らう気か」なんて言い出したりしかねません。

 

そんな器の小さい上司に対する処世術としては、会議が終わったあとなどに「すみません部長、私の理解力が足りなくて、ここのところがわからなかったんですけど」とへりくだりつつ聞くほうがいい場合があります