10年間ホームレス支援をしてきた私が「ホームレス記事炎上」に思うこと

大きな問題点と野宿の人を取り巻く状況
大西 連 プロフィール

見えにくくなる「ホームレス」の人たち

そして、「ホームレス」の人たちを取り巻く状況は変化を続けている。

厚労省「ホームレス概数調査」によれば、2020年1月時点でいわゆる「ホームレス」の人は全国で3992人と、調査開始時(2003年)と比べて6分の1以下に減少している。

しかし、この数字だけを見て、野宿の人、生活に困って住まいを失う人が減少している、と短絡的に考えることは適当ではないだろう。

国の統計による「ホームレス」は減少していると言えるが、一方で、東京都の調査によれば、いわゆる「ネットカフェ難民」は4000人と推計されている。

すでに、都内では、いわゆる「ホームレス」の人よりも「ネットカフェ難民」などの人のほうが多くなっているのが実際のところである。時代とともに、生活困窮の在り方、住まいを失った人の状況というものも変化していると言える。

そして、都市の再開発などで寝泊まりする場所も目に見えて減っていることも、これらを加速させている要因である。

 

「ホームレス」の人たちを取り巻く課題

2014年12月に発表された東京都の「長期ビジョン」によれば、2024年までに都内の「全てのホームレスが地域生活へ移行(原文ママ)」を目指す、とされている。

東京都による取り組みは、東京オリンピックを背景に「野宿の人を減らしたい」という思惑があることは明白だろう。

駅や公園、河川敷などの公共空間から「排除する」という形で「ゼロにする」のではなく、ホームレス状態にならずに済むような支援施策を整える方向性で支援の枠組みや規模が拡がることが必要だ。