10年間ホームレス支援をしてきた私が「ホームレス記事炎上」に思うこと

大きな問題点と野宿の人を取り巻く状況
大西 連 プロフィール

河川敷に住むホームレスの人たちは、台風などの大雨の時、どのように過ごしているのか。現金収入がなく食べ物にも困ったときにどう対応しているのか。さらには病気になったとき……。枚挙にいとまがないが、ホームレス状態で生活するということは、大きな困難がともなうことは明らかだ。

また、ホームレスの人たちのなかで、望んでホームレス生活にいたった方はどの程度いるのだろうか。「生き方」として描くことは、あたかも自己選択したもののように受けとめられるリスクがある。そのことを思案したのだろうか。

社会問題としての「背景」をないもの(なかったこと)にすることは難しいし、仮に表現する際にそれを意識的に削り取ってしまったなら、それは、残酷で、暴力性をともなうことなのではないだろうか。

 

暴力被害を受けるホームレスの人たち

11月16日、渋谷区の路上で、ホームレス生活をしていたと思われる女性が殺される事件が起きた。

3月には、岐阜でホームレス生活を送っていた男性が殺害された。

ホームレス生活をするなかで、暴力被害に遭う方は実はとても多い。

2014年に、都内の支援団体等が合同で、全国初であろう「野宿者への襲撃の実態に関する調査」をおこなった。

これは、野宿をしている人が暴力を受けたり、ケガをしてしまったりという事件が起こるなかで、その被害の内容、加害者の実態を明らかにするためのものである。都内で野宿をしている347名へアンケートでは以下のことが明らかとなった。

・40%の人が襲撃を受けた経験がある。
・襲撃は夏季に多く、襲撃者(加害者)の38%は子ども・若者。
・襲撃者は75%が複数人で襲撃に及んでいる。
・襲撃の内容としては、なぐる、蹴るなどの「身体を使った暴力」やペットボトルやたばこ、花火などの「物を使った暴力」が62%を占めている。
・子ども・若者の襲撃は「物を使った暴力」が53.6%にのぼる。

ホームレス生活をしている人の置かれている状況は必ずしも安全なものであるとは言えない。屋外で寝起きしているということは、支援として会いに行くことができる反面、悪意を持って訪ねることもできてしまうのである。

こういった環境下に彼ら・彼女らが日常的にさらされている、ということはぜひ知ってほしいところだ。

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