2020年11月12日、手塚治虫原作の国民的アニメ『鉄腕アトム』の主人公・アトムをモチーフにしたコミュニケーション・ロボット「ATOM」が、宮城県石巻市の「SDGs広報大使」に任命された。
実は、もともと同市のSDGsの取り組みには「広報大使」という役職は想定されていなかった。今回、コミュニケーション・ロボット「ATOM」のために、SDGs広報大使という役職を新たに用意して、大使に任命した。人間以外がこういった役職につくのは、同市では初ということだ。
今回、新たなルールを設けてまでロボット「ATOM」をSDGs広報大使に任命した背景からは、「マンガの街」として知られる石巻市、そして同市の亀山紘市長ならではの「ATOMに対する期待」が見て取れる。
2015年9月に国連サミットで採択された「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」、通称「SDGs」。2030年の達成を目標に、「貧困をなくそう」「すべての人に健康と福祉を」「質の高い教育をみんなに」「住み続けられるまちづくりを」など、よりよい世界を目指すための「17のゴール(目標)」を定めたものだ。日本でも2016年、政府内に「SDGs推進本部」が立ち上げられ、年に2回の会合を開催。その号令のもと、大小問わず企業や自治体などが旗振り役となり、一般社会への浸透が進められている。
朝日新聞社による2020年3月の調査では、「SDGsという言葉を聞いたことがあるか」という質問に対し、「ある」と答えた人は前回より5.6ポイント増の32.9%に。今回、初めてほぼ3人に1人が「聞いたことがある」という結果になった。活動の甲斐あり、採択より5年、少しずつ認知度は上がっているようだ。