マンガ『言えないことをしたのは誰?』は、著者のさいきまこさんが1年半かけて保健室や性被害にあった方々へ取材を行い、現実を伝えるべくマンガとしてまとめたものです。「ハツキス」にて連載されており、20日には最新刊の3巻も配信されました。その配信を記念して1巻の1話から無料試し読みの記事をお伝えしている第2回は、1巻2話の無料試し読みを公開します。

文部科学省が発表した平成30年度「わいせつ行為等に係る懲戒処分等の状況」によれば、教師の性暴力に限ってみただけでも、平成30年度にわいせつなどで懲戒処分を受けた公立学校の教員は282名。うち44%が自校の子どもに対するわいせつ行為により処分されています。
そんな性被害が「言えないこと」とされている、表面化しにくい現状について、さいきさんに語ってもらいました。

マンガ/さいきまこ 文/FRaU編集部

「言えない」と感じさせられる環境

言えないことをしたのは誰?』というタイトルには、実は大きな意味がある。さいきさんはこう語ります。

「タイトルは、実は最初は『恥ずかしいこと』という言葉を思いついていました。性被害を口に出せない理由に、よく『恥ずかしかった』というのがありますが、違和感があって。知られて恥ずかしいことをしたのは、加害者のはずです。なのに被害者が、屈辱や怒りや無力感だけではなく『恥ずかしさ』を口にするのは、『被害が恥ずかしいこと』と感じさせる圧力が世間にあるからではないか……と思っていました。

実際、取材に応じてくださった40代の女性は、被害について語る言葉を懸命に探して『屈辱……汚辱……』と悩みながらおっしゃっていましたが、恥ずかしさという言葉は出てきませんでした」

被害を思い出せなくなる「回避」の症状も

言えないことをしたのは誰?』では被害にあった中学生や「元」中学生が、助けを求めたくても言えない状況に追い詰められていることが描かれています。被害に遭っている側が引け目を感じる環境、それは性暴力の実態の隠れ蓑になってしまいかねません。

(C)さいきまこ/講談社『言えないことをしたのは誰?』

「被害に遭った女性は恐怖でも屈辱でもなく『恥じらう』ものだ、なぜなら『加害者が恥ずべき行為をした』のではなく『被害者が恥ずかしく感じる』ことをされたのだから。このような考え方は『性暴力に遭った女性はこうあるべき』という虚像じゃないかと私は感じていました。そしてそれが、恥ずかしいことをされたのだから言ってはいけない、言えない、という圧力になっているのでは……と。実際、作中にも出てきますが、被害者の親が『傷物にされたのでは』『世間に知られたら……』『誰にも知られないようにしないと』と口にすることは珍しくないようです。

もちろん、被害を言えない理由はそれだけではありません。被害という事実を、衝撃のあまり受け入れられず、何もなかったように振る舞ってしまうというのは、性被害に関する書籍には必ず出てきます。作中のように、信頼する教師からの性暴力であれば、そもそも被害であるという認識を持つことが難しかったりもするでしょう。また、被害自体を思い出せなくなる『回避』という現象も起こりえます。そうしたことは心理学面からも精神医学面からも、関連書籍に記されています

しかし、それとともに、やはりこの『被害者にとって恥ずかしいこと』という認識が世間にあることが大きいような気がしてならないのです」(さいきさん)

現実の取材をもとにさいきさんが描いた「学校での性被害の現実」。1巻2話では被害者が「言えない」と感じてしまう現実がわかります。

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