もちろん、Appleシリコンに最適化したアプリなら、もっと高速になる。
「翻訳」にかかる負荷が減る分、1〜2割高速になるようだ。M1版Macの動作全体がキビキビしているのは、OSを含めたほとんどの部分が最適化されている影響が大きそうだ。
さらに、「M1に搭載されている特殊な要素」がプラスに働く部分もある。
それが特に効いてくるのが「ビデオ会議」だ。
以下は、ビデオ会議ツール「mmhmm」のインテル版とAppleシリコン最適化版を比較したものだ。mmhmmは、Zoomなどのビデオ会議サービスと連携し、バーチャル背景やプレゼンへの人物の合成など、「インタラクティブな会議」を実現するアプリで、筆者も日々使用している。
次の動画を見ていただくと、もっとわかりやすいかもしれない。
インテル版では体や指のシルエットの「抜き」が甘く、動作への追従も遅い。だが、M1版Macで動かすと、そのあたりがかなり変わっているのがわかる。
しかも、指のジェスチャーを認識して画像を重ねる「ビッグハンドモード」も追加された。なかなか面白いこの機能は、Appleシリコン最適化版でしか使えない。
その理由は、M1に搭載されている「Neural Engine」にある。Neural Engineは、いわゆる機械学習処理を高速化する機構で、この種の処理がとても得意だ。
iPhoneにも搭載されていて、音声認識やカメラの画質向上に使われているが、それが「Macのアプリ」でも使えるようになったのは大きい。
さらによく見ると、カメラの画質も向上している。ビデオ会議中に顔が暗く、ノイズが多いかたちで映ることがあるが、同じMacでも、M1版Macではこの点が大きく改善される。
こうした変化は、単に処理速度を向上させるだけでなく、さらに「新たな可能性」を生み出す。