バイデンは中国の手先? 日本で「陰謀論」に騙される人が急増した「深刻な実態」

世界が驚愕「日本のトランプ支持層たち」
石田 健 プロフィール

では、この「少数のトランプ支持者たち」は、どのような人々なのだろうか。後述するが、こうしたトランプ支持者や陰謀論者は、いわゆるネトウヨ(ネット右翼)と重なっている可能性が高い。

そのことを端的に表しているのが、バイデン氏が中国寄りの立場、あるいは中国と結託しており、その利益のために動いているという言説だ。これは米国から派生して、日本でも広く拡散した代表的な陰謀論の1つだ。

バイデン氏が中国寄りであるという主張は、トランプ陣営によって大々的に喧伝された。

例えば、トランプ大統領の息子であるドナルド・トランプ・ジュニア氏は、「反・米国労働者であり、親・中国共産党のバイデン氏による貿易政策は、何千もの米国における製造業の仕事を奪った」と主張している。またトランプ大統領自身も、今年5月に「ジョー・バイデン:中国の操り人形」という動画を公開している。

 

こうした主張は、日本において「バイデン氏のために中国から偽造免許書が届き、不正な票が集まっている」や「バイデン氏の選挙担当者が」など具体的な陰謀論となり、まとめサイトに繰り返し登場した。

また右派論壇の中にも、まとめサイトに掲載されたデマについて、TV番組やYouTube動画などで紹介する論者が多く見られる。

こうして、バイデン氏と中国に関連する話題は、いわゆるネトウヨ層がよく閲覧すると言われるまとめサイトなどを中心に広く流布する陰謀論になったと見られる。(参照「日本でも大量拡散したバイデン氏の『不正』めぐる情報。まとめサイトや、新興宗教系メディアが影響力か」)

もしネトウヨがその拡散者であるならば、彼らの影響力は無視しても良いのだろうか? いくつかの研究(たとえば樋口直人ら『ネット右翼とは何か』2019年、青弓社)によれば、ネット右翼の割合は、ネット人口のわずか1〜2%だと言われている。わずか数%程度の極端な言説やデマは、現実世界に影響を及ぼさない、取るに足らない現象なのだろうか?