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興収782億円の映画も…『鬼滅の刃』も及ばない中国の「デカすぎるアニメ市場」

「映画のチャイナリスク」も存在する
井中 カエル プロフィール

「チャイナリスク」も存在する

一方で、日本の作品の興行という意味でも、中国は存在感を増している。『劇場版 夏目友人帳 うつせみに結ぶ』は日本では推定8億円前後と目されているが、中国では1億元(16.6億円)を超えるヒットを記録している。

また、コロナ禍中も含むために単純に比較はできないが、2020年2月21日に日本公開された『デジモンアドベンチャー LAST EVOLUTION 絆』は日本の初週4日間が1億2000万円と言われている中、一方で中国では公開5日間で12億円となっており、まさに桁違いと言えるだろう。今では中国の存在は作品のクオリティの面からも、興行という面からも無視できないものとなっている。

 

ただし、チャイナリスクが大きいのも他の産業と同じか、もしくはそれ以上かもしれない。2020年では『僕のヒーローアカデミア』が中国・韓国内で大炎上したことが挙げられる。

敵側の登場人物の名前が第二次世界大戦期の研究機関「731部隊」を想起させるとして、インターネットを中心に大きな問題となったのだ。難癖とも受け取れる批判意見だが、ジャンプ編集部と作者の堀越耕平が謝罪し、キャラクター名を変更する事態にまで発展している。

また新しい文化として脚光を浴びるVTuberでも炎上が発生した。カバー株式会社が運営するホロライブのVTuber、桐生ココと赤井はあとが、自身のチャンネルを見ている地域の割合を示すGoogleのデータを公開した。その際に日本、アメリカに並んで台湾が表示されており、台湾を国扱いしたのではないか、と中国国内で大きな問題となった。

その結果、カバー株式会社は炎上を収めるために2人の3週間謹慎処分を下したものの、今度は中国以外の国から抗議が殺到し、台湾では新聞などで報道される問題に発展した。特に桐生ココはスーパーチャット(投げ銭システム)の世界累計額が世界1位の1億540万円を記録するなど、国外からも高い注目を集めていただけに、その反応も大きなものとなった。

コロナウイルスによる影響の収束の兆候が見られない以上、特に欧米は今後も映画文化に対して厳しい対応が迫られるだろう。その中でも『鬼滅の刃』の大ヒットが示すように、比較的ダメージの少ない日本、特にアニメ映画は世界的にも大きな存在感を発揮することができるかもしれない。

そして2時間以内の作品のみなどの限定的とはいえ、再開している中国市場の動向も重要になる。そのリスクとどのように向き合いながら収益を上げていくか、難しい判断が迫られている。