すてきな人だから、すてきな結婚ができるとは限らない。だからこそ、もし自分にとって結婚が苦しいものならば、辛い思いを抱え続けずにすむ方法を考えたほうがいい。離婚もその選択肢のひとつだ。ライターの上條まゆみさんが子どもがいる状態で離婚や別れを経験した人に話を聞いている連載「子どものいる離婚」、今回は聡明ですばらしい女性にもかかわらず、夫に浮気されて苦しんだ現在44歳の女性に話を伺った。

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思い出したくない辛い体験

「結婚生活は正直、思い出したくもないほど辛い思い出。でも、かわいい2人の子どもに恵まれたことと、結果的にいまの仕事に巡り合うきっかけになり、やりがいをもちながら人並み以上に稼げていることには、感謝しています」と、佐久間光恵さん(仮名・44歳)。
 
話し上手で聞き上手。出会った最初の数分間だけで、会話の端々に聡明さが透けて見える光恵さんは、高校生の娘と中学生の息子を育てるシングルマザーだ。8年前に離婚した際、大手生命保険会社に保険プランナーとして転職した。

それまでの仕事は、フリーのコーチングインストラクターで、売上高は30代女性の平均程度。そこから経費を引くと、いくらも残らない。結婚しているときはよかったが、離婚して子どもと3人生きていくには、甚だ心もとない。
「そんなとき知り合いから、保険プランナーにならないかと誘われたんです。話を聞いてみると、人の幸せづくりのお手伝いができるという意味で、それまで私がやってきたコーチングとかなり親和性がある仕事だと感じました。フルコミッション(完全歩合制)だから、頑張りに応じて収入も上がると聞き、やってみよう! と、すぐに入社を決めました」

ある程度の覚悟はしていたつもりだったが、仕事は思った以上に大変だった。光恵さんが入社した会社は、担当エリアや企業などを与えてもらえるわけではなく、自力でマーケティング先を開拓していくシステム。つまり、最初は、知り合いから声をかけていかなければならない。

「それきり疎遠になった友だちもいたな…。でも、失った友だちより、保険プランナーになってからできた友だちの方が多いので」

8年目で年収は5倍に

光恵さんは、頑張った。最初の数年は休みもとらず、大晦日まで働いた。
「子どもが小3と小1で働き始めたんですが、運動会も保護者会も行かれませんでした。一応、予定には入れておくんですが、クライアントとのアポイント優先」

その甲斐あって、収入は倍々ゲームで増えた。8年目を迎えた今年の年収は、OL時代の5倍(!)を超える。
経済的に安定しだした3年前から、光恵さんはゴルフを始めた。2人の子どもは私学に通い、学生生活を謳歌している。光恵さんの帰りが遅い日には、夕食を準備しておいてくれるようなやさしい娘と、順調に反抗期を迎えているキュートな息子に囲まれ、光恵さんはいま、はっきりと幸せだ。

娘ひとりと息子ひとり。離婚した当初は小学校3年生と1年生だった(写真はイメージです。写真の人物と本文は関係ありません) Photo by iStock