私たち家族(親二人、子二人)は現在、私が現地で研究職に就いている関係でオーストリアで生活しているが、妻は仕事の都合で日本に頻繁に帰国しなければならない。コロナ禍においては特に大変で、公的な手続きなどどうしても日本で行う必要のある業務のために一時帰国する際には、自主隔離のために出張期間を余分に長く取ることはもちろん、感染した場合を含め、あらゆる事態を想定した準備が必要となる。

この状況に対して妻が国内外の日本人から最も多く投げかけられてきた言葉は、仕事の内容について問うものでも、コロナ禍で出張する苦労を気にかけるものでもなく、「出張中は誰が子供を見るの?」「ご家族も大変だね」といった妻が出張中にできないケア労働についての心配だ。

そもそも夫である私の都合で海外居住しているから出張が必要になっている訳だが、その苦労について心配されることもほとんどなく、反対に「出張させてくれるなんていい旦那さんだね」 と言われることまで少なくない。

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妻はコロナ以前から出張などの度に、このようにケア労働を心配される経験を繰り返しているが、コロナ以前は2ヶ月に1度程のペースで出張していた私には同様の事態が起こったことはない。改めて言うまでもないが、妻と私のこの差は、日本に未だ蔓延する「ケア労働=女性がすべきもの」という古い価値観からくる女性差別の一側面である。そしてこの差こそが、日本の女性がキャリアを構築するうえで大きな足かせとなっている。

共働きでも男女のケア労働に1日4時間の差

今の日本では実際、女性に極端に偏ってケア労働が分担されている。総務省が公表した「平成28年社会基本生活調査」によると、日本の夫婦の家事育児関連時間は、男性が平均して1日約44分であるのに対して、女性は3時間28分と3時間近くも差がある。6歳未満の子供がいる世帯ではさらに差が顕著で、男性が1時間23分、女性が7時間34分となっており、共働き世帯に限っても、男性の46分に対し女性は4時間54分と4時間もの差がある

もちろんこのような偏りは海外にもあり、欧米における同様の調査でも軒並み女性のほうが家事育児関連時間は長くなっている。とはいえ、その差は日本に比べて大幅に小さく、例えば上記の「社会基本生活調査」でも触れられている米国の夫婦の家事育児関連時間は、男性が2時間21分、女性が3時間49分でありその差は1時間半程度と日本の約半分である。